ニュージーランドの世界遺産「テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド」とは?フィヨルドランド国立公園を含めて世界遺産マニアが解説

  • URLをコピーしました!
登録区分自然遺産
登録基準(7),(8),(9),(10)
登録年1990年

ニュージーランド南島の南西部に位置するテ・ワヒポウナムというエリアには、フィヨルドや高山など、地殻変動と氷河作用によって形成された独特の風景が広がります。ここには飛べない鳥であるタカへや国鳥であるキウイなど、絶滅危惧種も多く生息。

ここでは、テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランドがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、テ・ワヒポウナムについて詳しくなること間違いなし!

目次

テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランドとは?フィヨルドランド国立公園も含まれている?

フィヨルドランド国立公園/テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド
画像素材:shutterstock

ニュージーランド南島の南西の角に位置するテワヒポウナムは、原住民であるマオリの言葉で「グリーン・ストーン(翡翠)の産地」という場所。世界遺産としてはフィヨルドランド国立公園、アオラキ/マウント・クック国立公園、ウエストランド国立公園、マウント・アスパイアリング国立公園の4つの公園で構成され、合計で約2万6000kmもの広大な地域となっています。

ここはインド・オーストラリアプレートと太平洋プレートの衝突が発生して形成されたサザン・アルプス山脈にあり、標高が3724mのマウント・クックなど、4000mに近い高山があれば、その高山から流れ出た氷河によって谷が削られ、そこに海水が入り込み、有名なミルフォード・サウンドなど15ものフィヨルドが形成されたのです。

タカヘ/テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド
画像素材:shutterstock

そして、ここはかつてゴンドワナ大陸として世界が一つの大陸であった時代の生物相を現代に残しているのも特徴的。特に鳥類は外敵が少ないために、独特の種が繁栄していることでも知られます。クイナ科の飛べない鳥・タカへや、国鳥として有名なキーウィなど、絶滅危惧種の固有種が多く残ることで有名。

登録されている主な構成遺産

フィヨルドランド国立公園

フィヨルドランド国立公園/テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド
画像素材:shutterstock

南島の南西部に位置するニュージーランド最大の国立公園でその広さは1万2500平方kmと、この遺産の大部分を占めています。観光地として有名なミルフォード・サウンドや広大なダウトフル・サウンドなど、14ものフィヨルドがあることで有名。

ミルフォード・サウンド

フィヨルドランド国立公園を代表する景観を持つフィヨルド。標高1200m以上の断崖に囲まれたサウンド(入り江)で、雨が降ると断崖から流れ落ちる数千の滝が見られることで有名。1年の3分の2は雨が降ることでも知られます。

アオラキ/マウント・クック国立公園

アオラキ/マウント・クック国立公園/テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド
画像素材:shutterstock

南島の中央部にあるニュージーランド最高峰である標高3754mのクック山(マオリ語で「アオラキ」)を中心とした公園で、3000m級の山が19も含まれています。そして、707平方kmもの広大な敷地は約40%が氷河に覆われているというのも特徴。

ウエストランド国立公園

ウエストランド国立公園/テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド
画像素材:shutterstock

アオラキ/マウント・クック国立公園の西側にある公園で、フランツ・ジョセフ氷河とフォックス氷河の2つが有名。

マウント・アスパイアリング国立公園

マウント・アスパイアリング国立公園/テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド
画像素材:shutterstock

フィヨルドランド国立公園の北側、標高3027mのアスパイアリング山を中心とした公園。2000m級の山々が連なり、標高の低いエリアにはブナ林が広がっています。

テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランドはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

フィヨルドランド国立公園/テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド
画像素材:shutterstock

テ・ワヒポウナムが評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
テ・ワヒポウナムの景観は、最も高い山、最も長い氷河、最も深いフィヨルドなど、ニュージーランドでも最上級の風景が広がっているということ。

登録基準(viii)
ニュージーランド南西部は、氷河期の氷河によって削られた地形はフィヨルドとなり、更新世(約258万年前〜約1万年前)の地球の歴史が刻まれているという点。

登録基準(ix)
氷河期から人間の影響を受けていない生息地が点在し、ここは固有の高山植物やキーウィなどの固有種などが独自で進化してきたということ。

登録基準(x)
タカへやキーウィなど、世界で最もテ・ワヒポウナムにはニュージーランドの固有種であり、絶滅危惧種が住むという点。

世界遺産マニアの結論と感想

テ・ワヒポウナムは、ニュージーランド南西部に残る景観と固有種を含めてすべての自然環境が世界遺産になっていると考えていいでしょう。高山に氷河が溜まり、それが山から流れ落ちてフィヨルドが形成された結果、固有の植物や動物の生息地ができるという自然のサイクルが評価されているのです。

ニュージーランドの国鳥であるキーウィは、なぜ国鳥になったかというと、先住民であったマオリ族がキーウィの羽毛で羽織りを作っていたこともあるのですが、ニュージーランドでしか生息していないため、シンボルになりやすかったというのが最大の理由だそう。

名産品であるキウイフルーツの名前はこのキーウィに由来しているのですが、別に見た目が似ているからということではないそう。ちなみに、現在のキウイフルーツの世界最大の産地はニュージーランドではなく、イタリア。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

目次