メキシコの世界遺産「メキシコ国立自治大学の大学都市中央キャンパス」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (2), (4)
登録年2007年

首都メキシコシティーの南部に位置するメキシコ国立自治大学は、60人以上の建築家やメキシコ壁画運動にも参加した芸術家によって建設されたもの。広大なキャンパス内に、メキシコの先住民文化や芸術をモチーフにした壁画が見られるというユニークな建造物が並びます。

ここではメキシコ国立自治大学の大学都市中央キャンパスがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、メキシコ国立自治大学について詳しくなること間違いなし!

目次

メキシコ国立自治大学の大学都市中央キャンパスとは?

メキシコ国立自治大学の大学都市中央キャンパス
画像素材:shutterstock

メキシコシティーの南部にあるメキシコ国立自治大学があるエリアは学部棟や研究所、図書館だけでなく、文化センターや博物館、映画館、スーパーマーケットまで並ぶ「大学都市」となっています。ここは16世紀に王立メキシコ大学が建造され、アメリカ大陸でも2番目に古い大学としても有名。1910〜1917年のメキシコ革命後、1929年に自治権を獲得し、やがて「メキシコ国立自治大学」となり、現在はラテンアメリカでも最大規模を誇る大学でもあります。

もともと1920年代から建設予定があり、現在のキャンパスは1950年代から建造が始められ、1954年に完成。ここは60人以上の建築家やメキシコ壁画運動にも参加した芸術家によって建設されたもの。メキシコ壁画運動とは、1920〜1930年あたりに確立された、メキシコ人のアイデンティティを民衆に示すための絵画活動のこと。

メキシコ国立自治大学の大学都市中央キャンパス
画像素材:shutterstock

郊外にあるだけに建物は火山岩を使用して、庭園が配されているという緑溢れるキャンパスになっています。特に中央図書館に描かれた壁画は、建築家であり、画家であったファン・オゴルマンによるもの。壁画には雨と雷の神トラロックや文化・農耕の神ケツァルコアトルなど、メキシコ古来の神々が描かれています。

学長塔はメキシコ壁画運動を立ち上げた画家、ダビド・アルファロ・シケイロスによる作品。他にも1968年のメキシコ・オリンピックのメイン会場として使用されたオリンピック・スタジアムなどもあります。

メキシコ国立自治大学の大学都市中央キャンパスはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

メキシコ国立自治大学の大学都市中央キャンパス
画像素材:shutterstock

メキシコ国立自治大学が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
キャンパスは、60人以上の建築家や芸術家によって築かれた、20世紀のユニークなモダニズム建築であったということ。

登録基準(ii)
キャンパス内の建造物は、メキシコの先住民のデザインや素材を取り入れた近代建築であり、これは20世紀の建築で重視される傾向であったということ。

登録基準(iv)
キャンパスは、人間の生活の質を向上させるという近代建築と都市計画が採用された数少ないモデルであったということ。

世界遺産マニアの結論と感想

大学のある都市がそのまま世界遺産になったという大変珍しいもの。ここはモダニズム建築と都市計画が組み合わせた、先鋭的な都市であるという点がポイント。メキシコの先住民をモチーフにした壁画や独自の素材なども加えられているというのも評価されています。

「メキシコ壁画運動」と聞くとあまりピンと来ないかもしれませんが、身近なところでいうと岡本太郎氏にも大きな影響を与えていて、彼の代表作である『太陽の塔』もその流れを組むとされています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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