パナマの世界遺産「ダリエン国立公園」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(7), (9), (10)
登録年1981年

パナマ東部、コロンビアとの国境付近に広がるダリエン国立公園は、太平洋の海岸から低温湿地や熱帯雨林まで、敷地は5790平方kmにもなるパナマ最大の保護区。ここは1000種以上のラン科の花々が確認され、カピバラなど貴重な哺乳類も多く生息しています。

ここではダリエン国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ダリエン国立公園について詳しくなること間違いなし!

目次

ダリエン国立公園とは?

画像素材:shutterstock

パナマの東端のダリエン県は、コロンビアの国境と接するダリエン地峡と呼ばれるエリア。世界遺産としては、太平洋の一部とコロンビアの国境沿いまで、5790平方kmと広大な敷地が登録されています。ここは中央アメリカの太平洋側で最も広大な熱帯雨林が広がっていて、他にも砂浜、岩の海岸、マングローブ、湿地体、ヤシの森など、さまざまな地形が点在。

パナマからコロンビアへと抜ける道路が建設されていないため、今でも先住民であるエンベラ族・ウォウナーン族・クナ族などが住む、原生林が存在しています。哺乳類は169種も見られ、世界最大の齧歯目のカピバラだけでなく、絶滅危惧種のコロンビアクロクモザル、ベアードバク、オオアリクイなどが生息。そして、鳥類は530種以上も存在し、ヒワコンゴウインコという大型のインコも見られます。植物相では、1000種以上のラン科の花々が存在するのも特徴。

登録エリアは、コロンビアの世界遺産である「ロス・カティオス国立公園」とも接しています。

ダリエン国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

ダリエン国立公園が評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
ダリエン国立公園は、太平洋岸から内陸の山脈まで中央アメリカ全土でもほぼ手つかずの多様な地形が見られ、野生生物の重要な保護区となっているという点。

登録基準(ix)
ダリエン地峡は、中米と南米を結ぶ地であり、ダリエン国立公園はさまざまな地形が点在する、中米と南米の動植物が入り交じる地でもあることから、その生物多様性が見られるという点。

登録基準(x)
ダリエン国立公園は、絶滅危惧種を含めた169種類の哺乳類や530種以上の鳥類、爬虫類は99種、両生類は78種も生息していて、植物も40を越える固有種も見られます。さらに標高の高いエリアの雲霧林ではさらなる発見の可能性があるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ダリエン地峡にある国立公園は、中米と南米を繋ぐ架け橋のような場所で、さまざまな地形が点在することから、それぞれの地域の動植物が集まり、固有種や絶滅危惧種が生息するという点で評価されています。

ちなみに、なぜパナマとコロンビアの間に舗装された道路が建造されていないのかというと、さまざまな理由があって、もともとは1970年代に高速道路の建造計画があったのですが、熱帯雨林や先住民の生活の保護、さらには反政府組織の本拠地でもあり、麻薬密売が行われていたりと…本当に複雑な理由で舗装された道が存在しないという残念なエリア。しかし、それが自然遺産保護には最適な環境を残しているというのも事実なので、難しいところですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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