登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4) |
登録年 | 2012年 |
スペインの国境に位置するエルヴァスは、17世紀から19世紀にかけて建設された、世界最大級の空堀と稜堡を活用した防衛都市。塁壁に囲まれた町の中には、兵舎や軍事施設、教会、修道院などがあります。そして、長い籠城戦に耐えられるように造られたアモレイラの水道橋なども含めて世界遺産として登録。
ここでは、国境防衛都市エルヴァスとその要塞群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エルヴァスについて詳しくなること間違いなし!
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群とは?
エルヴァスは、ポルトガルの首都リスボンとスペインの首都マドリッドの間の検問所を守る都市でした。周囲は起伏のある地形で、まさに砦を造るにはぴったりの場所だったのです。
エルヴァスは塁壁に囲まれており、兵舎や軍事施設、教会、修道院など、軍事都市として機能を多く持つ町でした。町は7つの稜堡の他、サンタ・ルジア要塞やグラサ要塞などの要塞が点在するといった構造。
エルヴァスはローマ時代からの歴史を誇る町ですが、現在残る町並みは10世紀から14世紀にかけて城壁とともに建設され、17世紀になると軍事要塞としてさらに整備されました。18世紀にはスペイン領となることもありましたが、19世紀になると重要度も薄れていき、20世紀になると国の史跡として保護されるように。
現存する要塞は17世紀から建設が始まりました。上空から見ると複雑な星型の構造になっていて、12の要塞が囲み、中央部には城が配置されています。こちらはオランダ人宣教師のコマンダーによってに設計されたもので、世界に数多ある要塞建築の中でも傑作というべき都市構造。
構成されている主な登録遺産
アモレイラ水道橋
16世紀後半から17世紀初頭に建設された水道橋。全長約7kmの水道橋は、要塞が籠城戦になっても耐えれるように設計されたもの。
歴史地区
軍事都市らしく、ほとんとが軍事目的の建物が続くというのが特徴。しかし、大聖堂や教会などもあり、ルネサンス様式やポルトガル半島独自のマヌエル様式などの建築物も点在します。
サンタ・ルジア要塞とグラサ要塞
南東部に位置するサンタ・ルジア要塞は17世紀に建造され、現在は軍事博物館として利用されています。グラサ要塞は18世紀に町の郊外に建造された要塞で、最前基地としての役割がありました。
国境防衛都市エルヴァスとその要塞群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エルヴァスが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
エルヴァスは、17世紀のヨーロッパにて発展した防衛都市と要塞の優れた例であったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
とにかく、空堀を備えた防衛施設としては世界最大級!空堀と稜堡を活用した防衛都市は、17世紀の軍事関連の傑作といえるでしょう。
ちなみに、上空から見るとシンメトリーで美しく、建物も幾何学的に並んでいるので、まるでドラゴンクエストに登場する、俯瞰的に見た「お城」のように見えるのです。RPGのマップのような地形を17世紀に当時の技術で作ったという点でも素晴らしいですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。