登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4), (6) |
登録年 | 2019年 |
イングランド北西部にあるジョドレルバンク天文台は、世界最大級の電波天文観測所。ここはマンチェスター大学の天文物理学者バーナード・ラヴェルによって1957年から使用が開始され、流星や月の研究、クエーサーの発見まで、さまざまな科学的成果を挙げてきたもの。
ここではジョドレルバンク天文台がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ジョドレルバンク天文台について詳しくなること間違いなし!
ジョドレルバンク天文台とは?
ジョドレルバンクは、イギリスの中央部チェシャーにあり、ここにはマンチェスター大学に属するジョドレルバンク天体物理学センターがあります。もともとはマンチェスター大学の天文物理学者バーナード・ラヴェルが1945年に周囲は農村部であるため送電線が少ないということからこの地に研究施設を移したことが建設のきっかけ。センター内はラヴェル望遠鏡やマークⅡ望遠鏡、トランジット望遠鏡など、7つの望遠鏡がある壮大な研究施設です。
特に1957年に完成した、口径76mのラヴェル望遠鏡は、戦車の砲台などを応用して建造され、ソ連初の人工衛星・スプートニク1号の追跡に成功し、アメリカやソ連から宇宙探査機の追跡を依頼されるなど活躍。望遠鏡は、流星や月の研究、クエーサー(ブラックホールを中心に光輝く天体)の発見、宇宙船の追跡など、多くの科学的成果を挙げてきました。これは1950年代以前の光学の天文台から、新たなる電波天文台への移行したという時代の変化を示すものでもあります。
ジョドレルバンク天文台はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ジョドレルバンク天文台が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ジョドレルバンク天文台は、科学における多大な成果を発揮した人類の創造的な傑作であり、電波天文台の先駆けとなっていて、天文台のその後の発展において重要であったという点。
登録基準(ii)
ジョドレルバンク天文台の存在により、電波天文台の技術発展において、地球規模での人間の価値観の交換が見られ、ここで発展した科学技術は世界の多くの地域に影響を与えたということ。
登録基準(iv)
ジョドレルバンク天文台によって、宇宙の理解が深まり、これは光学の天文台から電波天文台への移行を示していて、当時の最先端であった電波天文学の発展へと繋がっていったという点。
登録基準(vi)
ジョドレルバンク天文台の完成によって、光学天文学が終わり、今度は電波天文学が発展していき、宇宙にまつわる研究がより進化していったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ジョドレルバンク天文台は、電波天文台の先駆け的存在であり、天文台の完成により宇宙に関する知識が増えていき、科学的成果が多く挙げてきた施設であったという点で評価されています。そして、この天文台そのものの技術力も世界中の天文施設のお手本になったというのもポイント。
ちなきに、ラヴェル望遠鏡は電波望遠鏡としては世界最大ではなく、現在の世界最大は中国の天眼(口径500m)。しかし、これは可動しない天文台という点での世界最大で、可動型する電波望遠鏡の世界最大はドイツのエフェルスベルク電波望遠鏡、アメリカのグリーンバンク望遠鏡でともに口径は100m。今のところ世界遺産に登録されたのはジョドレルバンク天文台だけ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。