登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (8) |
登録年 | 1981年 |
アンデス山脈の南端にあるパタゴニア。チリ国境近くには、険しい山々と多くの氷河湖で構成される「ロス・グラシアレス国立公園」があります。公園の氷床は、南極、グリーンランドに次ぐ世界で3番目に広い氷河地帯に属するもの。3つの巨大な氷河が有名で透明な氷によって青白く光り、独特の景観を持ちます。
ここでは、ロス・グラシアレス国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ロス・グラシアレス国立公園について詳しくなること間違いなし!
ロス・グラシアレス国立公園とは?ペリト・モレノ氷河で有名?
パタゴニアは、アンデス山脈南部に位置する広大なエリアで、西側はチリ、東側はアルゼンチンで構成されています。ロス・グラシアレス国立公園は、アルゼンチンのサンタ・クルス州南西部にあり、チリの国境の近くにある公園。
「グラシアレス」というのは、スペイン語で「氷河群」を意味し、公園の半分を覆う氷河から由来。これらは、チリとアルゼンチンにまたがる南パタゴニア氷原にに含まれていて、南極、グリーンランドに次ぐ世界で3番目の氷河地帯になります。
公園内には氷河がいくつかあり、大きなもので48、小さなものだと200以上も点在。特に大きいのがペリト・モレノ氷河、ウプサラ氷河、スペガッツィーニ氷河の3つ。氷河は長い間、圧縮され続け、空気がほとんどなくなるため透明になり、光を吸収することで光り輝く青色の氷になります。一帯は南極やグリーンランドと比べて、気温が比較的高く、夏になると氷河が崩れ、それらが轟音と共に海に落ちていくという光景はあまりにも有名。
登録されている主な構成資産
ペリト・モレノ氷河
公園でも最も有名な氷河。氷が約250平方kmも覆っており、湖面からの高さは60m。最も活発な氷河として知られ、一般的な氷河は一年でたったの数mしか動かないのに対して、年間でも600〜800mもの速度で移動することで知られます。夏になると展望台から先端部が崩落する姿を見られ、観光客も多く訪れる氷河でもあります。
ウプサラ氷河
公園内最大の氷河。南パタゴニア氷原から流れ、アルヘンティーノ湖に至る距離は約60km。スウェーデンのウプサラ大学によって研究されたことから、ウプサラ氷河と呼ばれています。
ロス・グラシアレス国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ロス・グラシアレス国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
公園内は険しい山々に加え、世界でも3番目の規模を誇る広大な氷河は人々を魅了するものであるということ。
登録基準(viii)
ここは第四紀(約260万年前〜現在)氷河の拡大と縮小を繰り返したことで、大地が削られて谷になったり、モレーン(氷河によって削られた土が盛り上がって形成される地形)が見られたりと、氷河による影響を大いに受けた地形であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
世界で3番目の氷河地帯であり、険しい山々に囲まれた中で、ゴゴゴ…とスゴイ音を奏でながら湖に崩れ落ちる氷河は世界でもなかなか見られる景色ではありません。そして、氷河によって大地は削られ、モレーンや大きな谷など、独特の地形を生み出したことでも評価されています。
そして、地球温暖化の中、氷河はどんどんと縮小しているのに、ペリト・モレノ氷河、ウプサラ氷河、スペガッツィーニ氷河だけは現在進行系で規模も減らず、動き続けているという不思議な氷河でもあります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。