登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (10) |
登録年 | 1988年(2005年拡大) |
インド北部に位置する「ナンダ・デヴィ国立公園」。標高7817mのインド第2の標高を誇るナンダ・デヴィは、女神ナンダが住む山として古くから聖地とされてきました。現在は入山が禁止されています。その西側に位置する「花の谷国立公園」は固有の高山植物が多く見られ、ツキノワグマやユキヒョウなど絶滅危惧種も生息。
ここではナンダ・デヴィ国立公園と花の谷国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ナンダ・デヴィ国立公園と花の谷国立公園について詳しくなること間違いなし!
ナンダ・デヴィ国立公園と花の谷国立公園とは?
インド北部ウッタラーカンド州に位置するこの2つの公園は、ヒマラヤ山脈西部に位置し、どちらも優れた生物多様性が見られます。「ナンダ・デヴィ国立公園」は標高7817mのナンダ・デヴィ山を中心とした公園で、ここは女神ナンダが住む地として古くからヒンドゥー教徒によって崇められてきました。標高の高い場所は荒野が広がりますが、低地には針葉樹林やシャクナゲが見られ、貴重な動物が生息します。ここは宗教的な理由や生態系の保護の観点から、1983年から環境保護の学術調査以外での入域は禁止されています。
「花の谷国立公園」は2005年に追加で登録されたもの。敷地はナンダ・デヴィ国立公園の西側に広がり、標高約3500mの雪解け水に囲まれたエリアは多くの花が咲くことからこの名が付けられていて、その数は600種とされています。どちらに公園にも絶滅危惧種のユキヒョウやヒマラヤジャコウジカなどが生息。ここはユキヒョウなどの肉食動物が捕食する有蹄類やキジ科の鳥類などが暮らし、ヒマラヤ山脈西部の固有の野鳥が見られるエリアでもあります。
ナンダ・デヴィ国立公園と花の谷国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ナンダ・デヴィ国立公園と花の谷国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
ナンダ・デヴィはインドの文学や神話で言及され、インドで2番目に高い山という面で著名な探検家や登山家を魅了するほどで、この地は氷河やモレーン、高原などを保護しています。一方、花の谷国立公園は高山植物や花が広がり、息を呑むほどに美しい景観が見られるという点。
登録基準(x)
ナンダ・デヴィ国立公園は、絶滅危惧種のユキヒョウやヒマラヤジャコウジカ、バーラルと呼ばれるヒマラヤ原産のヤギなどが生息し、肉食動物が捕食する有蹄類やキジ科などが他のヒマラヤ西部の保護区よりも多く見られるのが特徴。花の谷国立公園は、貴重な高山植物があることで知られ、ここはヒマラヤ山脈の東と西の植物相の移行地帯であるため、絶滅危惧種や固有種の植物が存在し、さらに固有の鳥類が7種も見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
インドでも2番目の標高を誇るナンダ・デヴィ山を中心としたナンダ・デヴィ公園は氷河地形や高原などを保護し、花の谷国立公園は高山植物や花で埋め尽くされた景観が見られ、ここには生物多様性を維持する草食動物が多く暮らし、絶滅危惧種や固有種なども生息するという点で評価されています。
ちなみに、ナンダ・デヴィ国立公園には何百人もの人骨が発見されたという恐ろしいループクンド湖があります。ここは標高5029mの位置にあるにもかかわらず、彼らは9世紀頃に移動中、暴風雨によって死亡したと考えられていましたが…最新の調査ではそれぞれの人骨はさまざまな時代のもので、さらには人種すら違うことも判明して、謎は深まるばかり。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。