登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 1995年 |
イタリア南部にあるナポリは、紀元前5世紀にギリシャの植民都市ネアポリスから現在までさまざま国によって支配され、それぞれの時代の文化が今でも町に色濃く残っています。
ここでは、ナポリ歴史地区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ナポリについて詳しくなること間違いなし!
ナポリ歴史地区とは?
ナポリは、イタリア南部のカンパニア州の州都。ここは古代から地中海での交易で栄えた都市で、ヨーロッパでも最も古い都市の一つでもあります。街の起源は紀元前5世紀にギリシャの植民都市ネアポリスが設立されてから。ギリシャ時代には城壁なども築かれ、共和制ローマになると文化の中心地となりました。
しかし、町は6世紀にビザンツ帝国に支配されますが、8世紀にはナポリ公国として事実上の独立状態にありました。12世紀には北欧からやってきたノルマン人によって征服され、シチリア王国に組み込まれることに。この頃に港の卵城が建造されています。
13世紀になるとアンジュー家によってナポリ王国が建国。この頃が最盛期で、大聖堂が建築され、ヌオヴォ城(新しい城)がアンジュー家によって建設されます。15〜17世紀になるとアラゴン(カタルーニャ)王によって支配されるようになると、やがてスペイン領になりました。この頃に王宮は建造され、18世紀からはフランスのブルボン家を始め、ナポリ王家の宮殿となりました。
この頃はヨーロッパの主要都市として栄えたものの、1861年にイタリア王国に併合されます。現在は「ナポリを見て死ね」と言われるほどにナポリ湾に広がる美しい町並みが残っていて、約2500年間もかけて建造された壮麗な建築物が点在しています。
登録されている主な構成資産
卵城
12世紀にサンタルチア港の小島にノルマン人によって建設された要塞。伝説によると、ローマ時代の詩人が卵を城に埋め込み、卵が割れる時にナポリに危機が来るだろうと呪文をかけたという伝承があることから「卵城」と呼ばれます。
ヌオヴォ城
13世紀のアンジュー家によって建造された城で、卵城と区別するために「新しい(Nuovo)城」を意味するもの。しかし、戦争によって破壊され、現在見られる城は15〜18世紀にかけて再建。正面に3つの塔があり、そのうちの2つの塔の間が入口になっているという珍しい建造物です。
王宮
17世紀にスペイン統治時代に建造されたもので、それ以前はスペイン副王の住宅があった場所でした。ナポリ王国と両シチリア王国時代に、フランス出身のブルボン家によって使用された宮殿。
建物の西のファサードには、12世紀以降にナポリを統治した歴代の王の像が並べられているのが特徴的。現在は博物館として、かつての戴冠室などが再現されています。
ナポリ大聖堂
街の中心部にある大聖堂は、ナポリの守護聖人である聖ヤヌアリウスのために建造されたもの。古いバジリカの上に13世紀から建造が開始し、14世紀に完成。聖堂内部にはバロック時代の芸術家による作品が多く並び、18世紀に修復された礼拝堂が残ります。
サンテルモ城とサン・マルティーノ修道院
ヴォメロの丘の上に建つ建造物で、ナポリを見下ろす位置に建っています。城はアンジュー家によって13世紀に建造され、16世紀にスペイン人によって星型の城郭へと改築されました。修道院は、城の周囲に14世紀に建造され、建築家ファンザーゴによってデザインされた回廊が残っていて、現在は博物館となっています。
サンタキアラ教会
ナポリの下町に位置し、教会と修道院などを含めた複合施設。ここは14世紀に建造され、アンジュー家の墓などを含めた施設でした。17世紀にバロック様式で再建されましたが、第2次世界大戦時に破壊され、現在の建物は1953年に再建されたものです。
「サンタキアラの回廊」として知られる、敷地内ににあるクララ会(女子観想修道会)にある回廊は、マヨルカ焼きにタイルなどを使用した、カラフルな配色で施されています。
スパッカ・ナポリ
「ナポリをまっぷたつに切る」という意味を持つエリアで、ナポリの下町的存在。ここは古代ギリシャ時代から続く古いエリアで、地下には埋葬室や水道などが見られます。
ナポリ歴史地区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ナポリが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ナポリの文化は、古代からヨーロッパ各都市に影響を与えていて、16〜18世紀まではヨーロッパでも栄えた都市の一つで、芸術や建築などで大いに影響を与えたということ。
登録基準(iv)
中世から18世紀にかけて、ナポリは芸術と建築の中心地であり、それらは王宮や宮殿、教会などにも見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ナポリは2500年もの歴史を持つ都市で、古代から18世紀まで芸術と建築の中心地であり、それらはヨーロッパ各都市で影響を与えてきたという点で評価。
ナポリといえばマルゲリータやマリナーラなどの「ナポリピッツァ」ですが、これも世界無形遺産に登録。しかし、これらのピッツァ職人として認められるには、「真のナポリピッツァ協会」による厳しい審査が必要なのです。ちなみに、ナポリピッツァのお店で、ナポリの道化師・プルチネッラがピザを焼いている看板を見かけますが、そのお店のピッツァ職人は、「真のナポリピッツァ協会」という証拠でもあります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。