山口県の世界遺産「大板山たたら製鉄遺跡」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4)
登録年2015年

大板山たたら製鉄遺跡は「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成遺産の一つ。ここは江戸時代に日本の伝統的な製鉄法・たたら吹きが行われていた場所。ところで、大板山たたら製鉄遺跡はなぜ世界遺産なのでしょうか?意外と知ってそうで知らない!

ここでは大板山たたら製鉄遺跡がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、大板山たたら製鉄遺跡について詳しくなること間違いなし!

目次

大板山たたら製鉄遺跡とは?

画像素材:写真AC

山口県萩市でも郊外にある江戸時代中期から幕末まで利用されていた製鉄所跡。「たたら」とは、砂鉄を原料にして木炭をもやし、鉄を製鉄するという日本の伝統的な製鉄法「たたら吹き」のこと。特に中国地方の山地は、砂鉄と炭の原料となる木材が豊富に存在するために古くから製鉄が行われていました。たたらの製鉄には、大量の木炭が必要となるために周囲の山を切り尽くすという背景もあり、数十年間隔で製鉄所を移動するのが一般的。ここは江戸時代だけでも3回ほど使用されたと考えられています。

現在の遺構は、幕末の12年間(1855〜1867年)に使用された時のものです。高殿には、江戸時代の足踏み式の「天秤ふいご」の跡が残っていて、当時の様子が分かるもの。ここで製鉄した鉄製の船釘は萩市内にある「恵美須ヶ鼻造船所跡」で建造された西洋式軍艦「丙辰丸」にも利用されています。

大板山たたら製鉄遺跡はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:写真AC

大板山たたら製鉄遺跡が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
明治日本の産業革命遺産は、江戸時代から続く封建社会であった日本が19世紀半から西欧の技術によって20世紀初頭まで短期間で世界有数の工業国となり、そのノウハウや技術など、東アジアの工業化において影響を与えたという証拠である点。

登録基準(iv)
日本各地に残る鉄鋼、造船、石炭の産業拠点は、世界の歴史において、西欧諸国以外で初めて近代化に成功し、西欧技術の採用により、地元の技術革新と合わせて日本独自の工業化を反映した産業遺産であったということ。

世界遺産マニアの結論と感想

大板山たたら製鉄遺跡は、日本の伝統的な製鉄法であったたたら吹きが行われていた跡であり、ここで製鉄された鉄製の船釘は、西洋式軍艦に使用されていたという点でも評価されています。

ちなみに、スタジオ・ジブリの映画『もののけ姫』で登場する「たたら場」というのは、まさにたたら吹きをしながら製鉄で収入を得ていた集落という設定。作中では女性たちが「天秤ふいご」を踏んでいるシーンがありますが、あれは送風をしていて、鉄の温度を下げるという大事な作業でもあります。主人公のアシタカが女性と変わって足踏みをしていましたが、実際にかなりの重労働だった様子で、番子(作業員)が交互に踏むことから、「かわりばんこ(代わり番子)」の語源にもなったとか。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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