チリの世界遺産「ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)」とは?モアイも含まれる?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (3), (5)
登録年1995年

東太平洋の孤島であるイースター島(バスクア島)。ここに定住したポリネシア人は外部から影響を受けず、独特の伝統を持ち、10〜16世紀にモアイと呼ばれる石像を作り続けました。やがて島内にはほぼ住民はいなくなり、900体ものモアイだけが残りました。現在は独特の景観が見られるということで、モアイは貴重な観光資源になっています。

ここでは、ラパ・ヌイ国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ラパ・ヌイ国立公園について詳しくなること間違いなし!

目次

ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)とは?モアイ像はなぜ作られた?

モアイ像/ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)
画像素材:shutterstock

イースター島は、チリから東へ約3000kmも離れた絶海の孤島。ラパヌイ国立公園はイースター島全体が国立公園となっており、ラパヌイはイースター島の住民が呼んでいる島の名前から採用しています。島にポリネシア人が住み着いた時期については諸説ありますが、7〜8世紀頃にアフと呼ばれる石の祭壇が建造されるように。そのアフの上にモアイ像が作られ始めたのは10世紀頃と考えられています。

モアイ像は島の東にあるラノ・ララク火山の、比較的削りやすい凝灰岩で作られ、2〜20mと高さはバラバラ。モアイ像は一般的には何かしらの祭祀目的で作られたと推測されていますが、明確な目的は今でも不明。特に大きなモアイには「プカオ」と呼ばれる帽子のようなものがのせられていますが、これは髪の毛を表しており、イースター島では地位の高い男性は長い髪を団子状にして結ぶため、このようなものが作られたと考えられています。

モアイ像/ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)
画像素材:shutterstock

現在島内では、製作途中のものを含めて900体のモアイが点在しています。実は年代別にモアイの形状は異なり、初期のモアイは人の姿に近いもので下半身を含めて作られていたのですが、やがて手で腹部を囲むように作られ、最終的にはよく見られる長い顔で長い鼻、長い耳、胴体部が少ないといったものへと変化していきました。

鳥人/ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)
画像素材:shutterstock

16世紀までモアイは作られ続けましたが、その後は人口が増え、森林など島の資源が枯渇し、社会は衰退していきました。やがて部族間で争いが始まると、モアイを倒し合う「フリ・モアイ」が行われるように。18世紀に島の最高神・マケマケ神の化身である「鳥人」が信仰されると、モアイ作りは終息しました。その頃になると西洋人がこの島を訪れるようになり、外部から持ち込まれた病気が流行したり、島民が拉致され、18世紀後半には島民は100人程度に。現在はモアイを目当てに世界中から観光客が訪れています。

登録されている主な構成資産

アフ・トンガリキ

アフ・トンガリキ/ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)
画像素材:shutterstock

15体のモアイ像が並ぶという、島内最大のアフ。島の東部に位置していて、ここはこの一帯に住むホツ・イチ部族の首都のような場所であったと考えられています。これも「フリ・モアイ」によって倒され、1990年代になったようやく修復されたもの。

ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

モアイ像/ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)
画像素材:shutterstock

ラパ・ヌイ国立公園が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
絶海の孤島であるイースター島は、外部からの文化の影響がなく、独特で芸術的な建造物が作られたということ。

登録基準(iii)
島の人々は外部から影響を受けずにモアイを築き、独特の伝統を確立していたという点。

登録基準(v)
イースター島は、外界からの影響により、人口が減少して文明がほぼ崩壊寸前まで陥った例で、今では大自然の中でモアイが残るという文化的景観が作り出しているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

イースター島は、絶海の孤島にあったため、独特の文化であるモアイが築かれ、その伝統を長期に渡って維持していたという点を評価。そして、島は文明が崩壊寸前まで陥ったため、モアイ像だけが点在するという独特の文化的景観も残るということもポイント。

かつてはモアイは南米からやってきた人々の建築技術によって作られたというのが定説でしたが、今ではこの説はあまり支持されていません。そして、テレビなどでよく紹介されていた、モアイを採掘場から運ぶ際に木で車輪を作ったという説も今では否定されていて、縄で引っ張りつつ左右に揺らしながら運ぶという説が一般的。…モアイの謎は少しずつですが、解明に向かっているのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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