ペルーの世界遺産「リオ・アビセオ国立公園」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分複合遺産
登録基準(3), (7), (9), (10)
登録年1990年(1992年拡大)

ペルー北部にあるリオ・アビセオ国立公園は、アマゾン川上流に位置する熱帯雨林には、固有種が多く存在し、絶滅したとされる黄色の尾を持つヘンディーウーリーモンキーが発見されたことで有名な場所。ここは標高2500〜4000mのアンデス山脈の急斜面にはインカ帝国以前に建造された住居遺跡が広がっています。

ここではリオ・アビセオ国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、リオ・アビセオ国立公園について詳しくなること間違いなし!

目次

リオ・アビセオ国立公園とは?

ペルー北部にあり、アンデス山脈の東斜面に広がる広大な公園で、その面積は合計で2745平方kmにも及びます。ここはアマゾン川の支流であるマラニョン川とワジャガ川に挟まれた地で、アマゾン川の上流であるアビセオ川の約70%もカバーし、人がほぼ住むことがない雲霧林を保護しています。そして、数多くの考古学遺跡が森林や峡谷、高地などに点在。

自然遺産

ヘンディーウーリーモンキー/リオ・アビセオ国立公園
画像素材:Cola_amarilla(Wikipedia Commons)

公園内は、アンデス山脈の高地から雲霧林、草原地帯などさまざま地形が広がっていて、この地は間氷期による水没を免れたこともあり、古来より固有種が生き続ける地になりました。その中でも1926年に絶滅種に指定された南米で最も大きな霊長類「ヘンディーウーリーモンキー」が1974年に再発見されたことでも有名。

他にもアンデスの高山地帯に自生し、多くの花をつけるという巨大な植物「プヤ」なども見られるというのが特徴です。

文化遺産

グラン・パハテン遺跡/リオ・アビセオ国立公園
画像素材:Wikiperuvian(Wikipedia Commons)

標高2500〜4000mのアンデス山脈の急斜面には紀元前6000年前から人が住んでいたとされていて、その住居遺跡には紀元前10世紀〜紀元16世紀頃まで人が暮らしていたと考えられています。ここには36もの遺跡があり、高山の草原地帯には29ヶ所、森林地帯には7ヶ所点在しています。

特に、チャチャポヤス文化(9〜16世紀)の時代に儀式用として使用されていた建築物や畑、埋葬地などが残るグラン・パハテン遺跡で有名。

リオ・アビセオ国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

リオ・アビセオ国立公園
画像素材:Gato Montes(Wikipedia Commons)

リオ・アビセオ国立公園が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
リオ・アビセオ国立公園は、スペインが征服する前のアンデス山脈の雲霧林のなかで、人類が定住し、発展してきたことを示す遺跡もあり、それらは保存状態も良く、アンデスにおける人類の暮らしを理解する点で重要であるという点。

登録基準(vii)
リオ・アビセオ国立公園は。アンデス山脈の中でも熱帯に属するもので、標高が高くなるにつれ、雲霧林や草原、渓谷など、変化に富んだ地形が見られ、その景観の中には遺跡が点在し、かつて存在していた世界が見られるということ。

登録基準(ix)
リオ・アビセオ国立公園は、熱帯アンデス地域となっていて、標高350〜4349mの標高差があり、年間降水量も多く、湿気があり、土壌も酸性ということもあり、それらの影響を受けて多様な生態系がそのまま残っています。ここは乾燥した森林帯や多雨林、高地の草原地帯、雲霧林など、特に氷河期からそのまま維持された固有種を含めた生物多様性が維持され、その進化の過程まで見られ、気候変動や花粉の分布の研究においても重要な資料であるという点。

登録基準(x)
リオ・アビセオ国立公園は、数多くの生態系が維持され、5000種以上の植物相が存在し、動物相も新種などが発見される場所。ここには絶滅危惧種のメガネグマやオオアルマジロ、ヘンディーウーリーモンキーなどが見られ、多くの動植物は固有種を含めて貴重な種が多いということ。

世界遺産マニアの結論と感想

リオ・アビセオ国立公園は、現在は人の往来を制限するほどに手つかずの自然が残っていていて、アンデス山脈の高低差に降水量が多い地域ということもあり、氷河期の影響を受けずに生物多様性が維持され、絶滅危惧種や固有所が見られるという点で評価されています。その中に、紀元前6000年前からスペイン征服前の遺跡が点在し、古代のアンデスにおける暮らしが見られるというのもポイント。

ちなみに、ここにも「トキイロコンドル」といい、赤やオレンジ色の皮膚が露出したカラフルな顔のをコンドルが見られることで有名。頭はまるで現代アートのような複雑な構造から、芸術作品のモチーフになるというほど。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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