登録区分 | 複合遺産 |
登録基準 | (3), (5), (7), (9), (10) |
登録年 | 2012年 |
太平洋に浮かぶパラオ諸島には、445の島々が集まるロックアイランド(石灰岩の無人島)があります。島には美しいラグーンがあることで有名で、登録エリアには52の汽水湖(マリンレイク)があり、さまざまな生物が住んでいます。特に、ゴールデンジェリーフィッシュの住処である「ジュリーフィッシュレイク」は有名。実は各島には、2500年以上前から18世紀までは人が多く住んでいて、集落の跡や壁画なども残ることから複合遺産となっています。
ここでは、ロックアイランド群と南ラグーンがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ロックアイランドについて詳しくなること間違いなし!
ロックアイランド群と南ラグーンとは?
パラオの南西部、コロール州に点在する445の島々が「ロックアイランド群と南ラグーン」として世界遺産に登録されています。島は木々で囲まれていてまるで傘のよう。島の間をミルキーウェイと呼ばれる乳白色の海が連なるという景観は有名ですね。
各島には美しいラグーンが集まっています。それぞれの島には、マリンレイク(汽水湖)などが集まっており、その数は52。最も栄養を多く含んだ湖には、新種などが発見され、固有種や絶滅危惧種も生息。17〜18世紀にはどれも無人島になってしまいましたが、それ以前は島にパラオの人々が住んでいました。ロックアイランドからの移住の歴史が今でもパラオの人々の間でさまざまな形で伝承されています。
登録されている主な構成資産
ラグーン
ラグーンとは、外海から隔てられた水域のことを指し、ロックアイランドにはラグーンが無数に存在します。ブルー・コーナーには、絶滅危惧種のメガネモチノウオ(ナポレオンフイッシュ)などが見られ、ダイビング・スポットとしても人気。
マリンレイク(汽水湖)群
ロックアイランド内には、多くの湖がありますが、地下で海と繋がって海水が混じったマリンレイクが特徴。実は世界のマリンレイクの中でも、約4分の1がロックアイランドにあるとされています。特にマカラカル島の「ジェリーフィッシュレイク」は、代表的なマリンレイクで、ゴールデンジェリーフィッシュ(タコクラゲの仲間)が多く生息していることで有名。
文化遺産
島々は17〜18世紀には無人島になったのですが、集落の跡や壁画などが現在も残っており、2500年以上前から各島に人々が住んでいたということが分かっています。
ウーロン島には、2000〜3000年前に刻まれたという岩絵があり、これが最も古い史跡。他にもウーロン島には、10〜17世紀ころまで人々が住んでいた集落跡なども発見されています。ウルクタープル島には、石貨が発掘されたり、埋葬地として使用されていた洞窟も発見。これだけ多くの遺跡が残っているのにもかかわらず、ここに住んでいた人々は人口増加、気候変動、水産資源の乱獲による食料不足で、17〜18世紀には近隣の島々に移住したと考えられています。
ロックアイランド群から大きな島々へ移動した人々の子孫は、伝説や神話、踊り、ことわざなどを通じて、その記録を守り続けています。
ロックアイランド群と南ラグーンはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ロックアイランドが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ロックアイランドに残る集落の跡や壁画には、かつてここで人々が漁業をしながら暮らしていたということを証明しているという点。
登録基準(v)
17〜18世紀にロックアイランドが放棄されたということは、気候変動と海産物の枯渇が社会活動の限界を示していたということ。
登録基準(vii)
ターコイズブルーのラグーンは美しく、マリンレイク(汽水湖)などには多様な海水生物が生息しているという点。
登録基準(ix)
登録エリアにはマリンレイク(汽水湖)を含み52の湖があり、新種が発見されたり、ジュリーフィッシュレイクのゴールデンジェリーフィッシュなどの固有種も多く住んでいるということ。
登録基準(x)
アオウミガメなどの絶滅危惧種や絶滅寸前のタイマイ、パラオの固有の魚類や植物のほぼ半分が生息していたりと、生態系が豊かであるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
美しいラグーンやマリンレイク(汽水湖)から構成される景観と、ジュリーフィッシュレイクなどに住む多様な生態系など、自然遺産として評価されているイメージですが、文化遺産としての価値も高いというのが特徴。島にはかつて多くの人々が住んでいた形跡も発見されています。絶景だけでなく、文化遺産としての価値も高いのがこの遺産のポイントですね。
ちなみに、タコクラゲは毒を持っていて危険なタコなのですが、ジュリーフィッシュレイクに住むゴールデンジェリーフィッシュは毒がなく、触れてもOKということで、旅行者も安心して楽しめるのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。