登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(2),(3),(4),(6) |
登録年 | 1988年 |
ペロポネソス半島の東側のエピダウロスは、紀元前6世紀から医療の神・アスクレピオス信仰が行われていた地。紀元前4世紀には建築家テオドロスによってアスクレピオス神殿が建造され、ギリシャで最も美しいとされる劇場を代表とした医療センターへと発展しました。
ここではアスクレピオスの聖地エピダウロスがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エピダウロスについて詳しくなること間違いなし!
アスクレピオスの聖地エピダウロスとは?
首都アテネから南西へ約65km。エピダウロスはサロニコス湾に面した港町で、古代ギリシャ時代は独立した都市国家でもありました。ここはもともと別の神が崇拝されていましたが、紀元前6世紀に医療の神・アスクレピオス信仰が始まったとされています。やがて紀元前4世紀になると、建築家テオドロスによってアスクレピオス神殿(アスクレピオン)が建造され、聖域となりました。
その周囲は、医療施設だけでなく、運動施設、劇場など、ギリシャ・ローマ時代の医療センターへと発展していきます。特にギリシャで最も美しいとされる劇場は保存状態も良好。
アスクレピオス神殿(アスクレペイオン)
ドーリア式の神殿で、かつては大理石で築かれた石柱が並んでいてたものの、現在は前後に6本、側面に11本残るのみ。ここは病人が礼拝のために訪れたとされ、病人たちは周囲の温泉やギュムナシオン(運動場)などで治療するというシステムでした。
アスクレピオスの聖地エピダウロスはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エピダウロスが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
エピダウロスの劇場は、子ポリュクレイトスによる作品であり、その見事なデザインや音響効果などが施された傑作で、現在でもフェスティバルに使用されているほど。
登録基準(ii)
エピダウロスのアスクレピオスの聖域は、ギリシャやローマ世界の各都市でアスクレピオス神殿(アスクレペイオン)が建造されるほどに影響を与えたという点。
登録基準(iii)
エピダウロスのアスクレピオスの聖域は、神々に捧げれた神殿と治療施設を備えた、ギリシャとローマ時代の医療センターとして有名であったということ。
登録基準(iv)
エピダウロスのアスクレピオスの聖域は、紀元前4世紀に建造された、神殿や劇場などを持つ、優れたギリシャ建築であるという点。
登録基準(vi)
聖域では、当初は非科学的で神の奇跡による治療が行われることで有名ではありましたが、この聖域の発展によってやがて現代医学に繋がっていったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
エピダウロスは、古くからアスクレピオス信仰があったことで、ここに神殿が築かれたことから治療施設だけでなく、患者たちが娯楽を楽しむ施設である劇場を含めた、医療センターへと発展。ここから古代ギリシャ・ローマ世界で似たような施設が建築されていくようになったという点で評価されています。そして、当時は非科学的ではあったものの、これが現代医学のルーツ的な場所であるというのもポイント。
ちなみに、アスクレピオスが持っている「アスクレピオスの杖」は、蛇を巻きつけた杖で超自然的な力を持つとされています。その後、医療の神だけに彼の持つ杖が、「医学」のシンボルとなることが多く、現在でも世界各地の救急車の車体に描かれることも。ちなみに、世界保健機関(WHO)の旗もアスクレピオスの杖が描かれています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。