登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (8) |
登録年 | 2007年(2014年拡張) |
中国南方には温帯地帯から亜熱帯地域まで多くのカルスト地形が広がり、世界遺産としては重慶市、貴州省、雲南省、広西チワン族自治区に見られる壮大な景観が登録。ここは石の橋や鍾乳洞、木々のように並ぶ岩石など、カルスト地形が織りなす美しい風景を眺めることができます。
ここでは中国南方カルストがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、中国南方カルストについて詳しくなること間違いなし!
中国南方カルストとは?
カルストとは、石灰岩などが広がる地形に水が侵食することで形成される地形のこと。中国南部には約2億5000万年以上前のペルム紀〜中生代に形成されたカルスト地形が見られ、雲南・貴州省の高原地域から広西チワン自治区の盆地まで約700kmに渡って、標高差は約2000mもあるため、さまざまな景観が続きます。
世界遺産としては3つの区画に分かれていて、重慶市・武隆、雲南省・石林、貴州省・茘波だけで登録されていましたが、2014年に広西チワン族自治区の桂林なども加わり、拡大登録となりました。
武隆/重慶市
重慶市から東へ約200kmほどの位置にあるエリアで、ここには天井部が落下して形成された大穴(ドリーネ)「箐口天坑」、天然のアーチが見られる「天生三橋」、鍾乳洞が2800mも続く「芙蓉洞」が見られます。
石林/雲南省
省都の昆明市から東に広がるエリアで、高さ30mの槍のような形をした岩が無数に並ぶ景勝地。これらは約2億5000万年以上前に石灰岩が雨によって削れられたもの。
茘波/貴州省
貴州省の東側に位置するカルスト地形で、尖塔状の山々が並ぶ地域。希少な動植物が多く見られ、1500種類の植物が見られるというのが特長です。
桂林/広西チワン族自治区
広西チワン族自治区の北部に位置する、中国でも人気の景勝地。世界でも稀に見る、尖塔状の小高い山々が林立するエリア。漓江沿いの河川景観はさまざまな形をした岩山が見られるのも特徴です。
中国南方カルストはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
中国南方カルストが評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
中国南方カルストは、桂林を含め、さまざな形状のカルスト地形が見られるというのが特徴で、森には希少種や絶滅危惧種なども生息しているという点。
登録基準(viii)
中国南方カルストは、約2億5000万年以上前の中生代から形成され、カルスト地形の発展が見られるというのが特徴。特に桂林はカルスト地形の研究がされていて、独自の景観が見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
中国南部にはさまざまなカルスト地形が見られるのが特徴で、今も変化し続けるカルスト地形の発展など、地質学的にも貴重であるという点で評価されています。
カルストは、現在のスロヴェニアの「カルス地方」が由来しているのですが、これは最初にここでカルスト地形の研究がされたことから名付けられたもの。もし先に中国の桂林で研究されていたら「ケイリン地形」と名付けられてたかもしれない…と研究者に言わしめるほどに素晴らしいカルスト地形が残るエリアでもあるのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。