登録区分 | 複合遺産 |
登録基準 | (5), (6), (7), (8) |
登録年:1987年 | 1987年 |
オーストラリア大陸の中心部にある巨大な一枚岩であるウルル。かつてはエアーズロックと呼ばれていて、50km先のカタ・ジュタとは地下で繋がっているほどの巨大な岩石です。ここはアボリジニのアナング族の聖地で、1万年以上前から「偉大な祖先」が眠る地として崇められてきました。
ここでは、ウルル=カタ・ジュタ国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ウルル=カタ・ジュタ国立公園について詳しくなること間違いなし!
ウルル=カタ・ジュタ国立公園とは?
ウルル=カタ・ジュタ国立公園は、地球のへそと言われるウルル(エアーズ・ロック)と、ウルルと地下で繋がっているカタ・ジュタ(オルガ山)の2つで構成される公園。ここはノーザンテリトリーの首府ダーウィンから1431km南に位置しています。
6億年前にここには8000m級の山々があり、山脈の合間には川には砂が大量に積もって扇状地が作られました。これが侵食で削られて、大きな砂岩へと。そして、地殻変動が発生し、7000万年前には現在のような姿になったのです。岩には鉄分が含まれていて、遠方から眺めると赤く見え、岩肌にはくぼみや洞窟も無数に存在。
この地には、4〜5万年前からオーストラリアの先住民であるアボリジニのアナング族が住んでいました。彼らが作っていたピチャンチャチャラ語で「ウルル」と呼ばれていました。しかし、1873年、イギリスの探検家ウィリアム・ゴスがこの地を発見して、南オーストラリア州首相のヘンリー・エアーズから名前をとって「エアーズ・ロック」と名付けられます。
ウルル周辺が聖地になったのは、1万年くらい前から。彼らは文字を持たなかったため、岩に壁画を残しました。そこには水たまりや精霊などが描かれており、岩山には「偉大な祖先」の魂が眠っているとされています。
ここは1958年から国立公園となっており、観光地として人気が出たため、多くの観光客がウルルを登頂していました。しかし、長年の裁判の結果、1985年にこの土地はアナング族に返還され、2084年までは政府が土地を借用するということになり、2019年には登頂禁止になっています。
ウルル(エアーズ・ロック)
世界で2番目に大きな岩石。高さは348mで周囲は約9.4km。砂岩は鉄分を多く含んでいて、酸化することで赤色になるという構造。そして、朝日や夕日を浴びると色がより鮮明に出ます。現在露出している岩山は、全体の5%ほどしか出ておらず、地下に埋まっている部分がほとんど。
カタ・ジュタ(オルガ山)
カタ・ジュタとは「たくさんの頭」という意味。ウルルから50km離れた距離にあり、地下で繋がっています。オルガとは、ドイツのヴュルテンベルク王妃オリガ(オルガ)から由来しています。36もの岩山が連なり、最大のもので高さは546m。
ウルル=カタ・ジュタ国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ウルル=カタ・ジュタ国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(v)
ウルルを含めた文化的景観は、アナング族の伝統的な狩猟や生活を反映したものであるということ。
登録基準(vi)
ウルルとカタ・ジュタは、アナング族の神話の舞台となっており、「偉大な祖先」が寝る土地として崇められてきたという点。
登録基準(vii)
巨大な一枚岩であるウルルと複数の岩山が連なるカタ・ジュタは、平原の上にそびえ立つ美しい自然の景観であるということ。
登録基準(viii)
平原の中にポツンと立つウルルとカタ・ジュタは、地形学としても優れた例であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
世界でも2番目に大きな一枚岩であるウルルは、他では見られない独特の景観を持ち、地形学としても珍しいものであるという点で評価。そして、ここはアナング族の聖地として彼らのシンボルであり、文化を作り出した空間の中心地であるということもポイントです。
ちなみに、世界で一番大きな一枚岩は、オーストラリア西部にあるマウント・オーガスタス。その大きさはなんとウルルの約2倍!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。