登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 2000年 |
イタリア北部にあるヴェローナは古代ローマ時代、紀元前1世紀に設立された町。ここは13〜14世紀にスカーラ家が支配すると町は大いに繁栄しました。しかし、15〜18世紀にはヴェネツィア共和国の一部になり、衰退。中心部には古代から中世、ルネッサンスなど、それぞれの時代の歴史的建造物が今でも多く残っています。
ここではヴェローナ市街がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヴェローナについて詳しくなること間違いなし!
ヴェローナ市街とは?『ロミオとジュリエット』の舞台?
イタリア北部にあるヴェローナは、アルプス山脈の麓にある町。ここは先史時代から人が住んでいたとされ、紀元前1世紀になるとムニキピウム(自治都市)となり、重要な都市となりました。その後、東ゴート王国やカロリング朝などに支配されるものの、12世紀になると自治都市になりました。そこで登場したのが、13〜14世紀に繁栄したスカーラ家。しかし、15世紀にヴェネツィアに支配されるようになると徐々に衰退し、一時的にオーストラリアの一部となるも1866年にイタリア領となりました。
街の中心部にはイタリア北部でも有数のローマ遺跡が多く残る都市です。スカーラ家により、市街地が広げられ、アディジェ川に挟まれた旧市街からさらに拡大。町は中心部にあるシニューリ広場やエルベ広場を中心に歴史的建造物が今でも多く並びます。2000年という歴史とともに繁栄した町並みが残るのがヴェローナの特徴。
『ロミオとジュリエット』の舞台
劇作家ウィリアム・シェイクスピアの作品『ロミオとジュリエット』では、劇中に記載があるように、舞台はヴェローナとなっています。実際に劇中に登場するジュリエットのモデルとなった「カプレーティ家の娘の家」は現存していて、ここには劇中のようにバルコニーとジュリエット像が設置してあり、雰囲気は抜群。
登録されている主な構成資産
アレーナ・ディ・ヴェローナ(円形闘技場)
旧市街の中心に位置し、ローマ時代の紀元前1世紀頃に建造された円形闘技場。2階建ての構造で直径は最大で約140mと広大な面積を誇るもの。ここは闘技が行われていたとされますが、4世紀には既に禁止されました。中世以降もイベント時に利用され、1913年から夏になると屋外オペラ会場として使用されています。
シニョーリ広場
旧市街の中心部にある広場で、『新曲』の作者ダンテ・アリギエーリの像があることで有名な広場。そして、広場のそばにはランベルティの塔という高さ84mの塔もあります。
サン・ゼーノ・マッジョーレ聖堂
12世紀に建造されたロマネスク様式の聖堂で、イタリア・ロマネスク建築の代表作でもあります。ヴェローナの守護聖人である聖ゼーノから由来するもの。バラ窓のファサードが象徴的で、高さ72mの鐘楼が見事です。『ロミオとジュリエット』では、2人が結婚式を挙げたとされる場所。
ドゥオーモ(ヴェローナ大聖堂)
町の北側にあり、6世紀に建造された大聖堂。しかし、12世紀の地震により再建され、ロマネスク様式とゴシック様式が混在する大聖堂となりました。内部にはヴェローナのルネサンス芸術家の作品が並びます。館内にある図書館は、継続して運営しているという点では世界最古の図書館とされるもの。
ヴェッキオ城
アディジェ川にかけられたスカリジェロ橋を渡った先にある城。14世紀後半に建造され、スカーラ家の居城として利用されていました。ここには城壁と6つの塔が残り、現在は市立博物館として開放されています。
ヴェローナ市街はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヴェローナが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ヴェローナの建築物と区画は、2000年以上にも渡って発展し、それぞれの時代の芸術的要素を取り入れた優れた例であるということ。
登録基準(iv)
ヴェローナは、ヨーロッパの歴史における城塞都市の発展の段階が見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ヴェローナは、イタリアの都市の中でもかなり深い歴史を誇り、古代ローマから中世の建築物まで各時代の芸術様式がそのまま溶け込んで存在するという点で評価されています。
ちなみに、街にはジュリエットの家があればロミオの家もあるのですが、ここは一般邸宅とのことで非公開。まぁ、実際に作者であるシェイクスピアはここを訪れたという記録はないので、ここをモデルにしたとは言い切れないのですが。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。