登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(3) |
登録年 | 1979年 |
フランス南西部にあるヴェゼール渓谷は、先史時代の147の遺跡と25の装飾洞窟があります。特に1940年に発見されたラスコー洞窟の壁画が有名。これらは狩猟の様子が生き生きと描かれていて、先史時代の芸術品とも呼べるもの。
ここでは、ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヴェゼール渓谷の装飾洞窟について詳しくなること間違いなし!
ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟とは?
ヴェゼール渓谷は、フランス南西部・ドルドーニュ県のレゼイジ=ドゥ=タイヤック=シルイユからモンティニャックまで広がる約40kmほどのエリアを指し、ここには先史時代の147の遺跡と25の装飾された洞窟が点在。その中でも1940年に発見されたラスコー洞窟でも有名で、これらは民俗学や人類学、芸術作品としても貴重なもの。
これらの遺跡はムスティエ文化(中期旧石器時代)を築いたネアンデールタール人が使用した洞窟からクロマニョン人が描いた壁画や道具など、さまざまなものが登録。「先史的景観」というのは、洞窟や墓場、作業場、原材料の採掘現場などを含めたものを指します。
ラスコー洞窟(ラスコー壁画)
スペインのアルタミラ洞窟と並ぶ規模を持つ、数少ない先史時代の壁画が残る洞窟。1940年に地元の少年たちが、穴に落ちた時に偶然発見。ここは2万年前にクロマニョン人よって造られたもので、200mの洞窟に無数の馬、ヤギ、羊、牛などが描かれています。大きな牛がいくつも描かれた「牡牛の大広間」と呼ばれる壁画が有名。特に凹凸のある洞窟は遠近法などを利用していることから、これを描いた人々の技術力の高さが伺えます。
1948年から一般公開されたものの、人間が吐き出す二酸化炭素によって、洞窟は劣化したため、1963年以降は非公開に。1983年に洞窟の近くに築かれたレプリカの洞窟「ラスコー2」が完成し、ここなら今でも見学することが可能。
ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヴェゼール渓谷の装飾洞窟が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ラスコー洞窟を含め、ヴェゼール渓谷の洞窟で発見された美しい壁画などは、先史時代の美術作品の傑作であるという点。
登録基準(iii)
ヴェゼール渓谷で発見された遺物は、旧石器時代まで遡り、歴史学や民俗学、人類学の観点から貴重なものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ラスコー洞窟を含めてヴェゼール渓谷に点在する洞窟や遺跡は、人類学や民俗学、歴史学だけではなく、先史時代の芸術作品としても重要なものであるということが評価に繋がっています。よって、当時の埋葬地、石材の作業場、採掘場などの渓谷すべてが「先史的景観」とされているのもポイント。
ちなみに、クロマニョン人はヴェゼール渓谷にある「クロマニョン洞窟」で1868年発見されたことから、その名がつけられました。彼らは4〜1万前に存在していたとされ、現在のコーカソイドの祖先という説もあるんですよ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。