登録区分(暫定リストに記載) | 文化遺産 |
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登録基準(暫定リストに記載) | (2), (4) |
申請年(暫定リストに記載) | 2019年 |
ポーランド北部のグダニスク湾でも大型の湾口都市であるグディニアは、もともとは小さな漁村であったものの、20世紀初頭にはヨーロッパでも有数の湾口都市となり、現在も当時の区画や建築物が残っています。
ここではグディニアの初期モダニズム都市の中心地がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、グディニアの初期モダニズム都市の中心地について詳しくなること間違なし!
グディニアの初期モダニズム都市の中心地とは?
ポーランド北部のポモージェ県にあるグディニャ。ここは古くからの集落地だったものの、20世紀初頭までは小さな漁村でした。グダニスク湾の中心部は古来から街の南に位置するグダニスク(ダンツィヒ)でしたが、ドイツ人住民が多く暮らすことから、1920年代にポーランド政府はこの地に湾口都市を築き、やがてポーランド南部まで結ぶ鉄道路線を持つ大都市となり、ここは富裕層が多く集まり、人口は12万人とポーランドでも重要な港となりました。
第二次世界大戦時はドイツに占領されたものの、被害は少なく、20世紀初頭のモダニズム建築が多く維持されました。1階は商店がある大型のタウンハウス、現在でも造船所が残るグディニャ港、市庁舎や中央駅、オフィスビルなど、機能性を追求したモダニズム建築が多く残っているのが特徴。
グディニアの初期モダニズム都市の中心地はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?
グディニアの初期モダニズム都市の中心地が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
グディニャの建築物やレイアウトは20世紀のヨーロッパの中でも優れた都市計画で、モダニズムの理想や港の需要と組み合わされた都市であり、ポーランド各地から訪れた人々によって新たなコミュニティが築かれたという点。
登録基準(iv)
グディニャのモダニズム都市の中心地は、居住地や行政、行楽、工業地帯などで区分けられ、機能的でなく、象徴的意味を持ち、公共建築物と大型のタウンハウスなどが並び、伝統的な都市構造を持ちながら、モダニズムの理想が組み合わされた革新的な複合体であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
グディニャは、ポーランド政府の需要によって急激に近代化した都市であり、第二時世界遺産大戦を経過しても当時のモダニズム建築物が残っていて、その都市構造が残り、タウンハウスの1階には店舗が広がっていたりと、各地に住んでいた住民が一つの都市に集まるという多様化した社会が存在していたという点で評価されています。
ちなみに、近隣のグダニスクのほうが歴史が深く、世界遺産の候補として推薦されているのですが、ここは第二次世界大戦で大いに破壊されてしまい、残された資料から復元したために、遺産の保存を目的とした世界遺産条約とは方向性が異なるというために登録まではなかなか難しいところですね(首都ワルシャワも似たような境遇でしたが、こちらは世界遺産発足時に登録されたので特別に認められたという背景もあります)。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。