登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(3) |
登録年 | 1985年 |
スペイン北部に点在する18の旧石器時代の洞窟には、美しい壁画あることで知られ、その中でもアルタミラ洞窟が最も有名。ここは紀元前1万8000年頃から独自の壁画が見られるようになり、特にアルタミラ洞窟はマグダレニアンと呼ばれる美しい芸術様式の最高傑作とされています。
ここでは、アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器洞窟美術がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アルタミラ洞窟について詳しくなること間違いなし!
アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器洞窟美術とは?その壁画を含めて解説
スペイン北部のカンタブリア州にあるアルタミラ洞窟は1985年に登録され、その後、2008年にカンタブリア州、アストゥリアス州、バスク自治州の17の洞窟が追加されました。
後期旧石器時代、約3万5000〜1万1000年前にはヨーロッパ各地で洞窟壁画が多く建造され、特に1万8000年頃からこのエリアで独特の壁画様式が見られるようになります。これらは洞窟の奥深くに描かれていたため、気温の影響も受けず、保存状態はかなり良好。
特に約1万7000〜1万3000年前にはマグダレニアン美術という多彩なモチーフとカラフルな配色が見られるのですが、その代表的なのはアルタミラ洞窟とカンタブリア州のエル・カスティーリョ洞窟。1万3000〜1万1000年になり、地球の気温が上がると壁画の数は減っていき、ラス・マデダス洞窟以降はこのエリアで洞窟壁画は見られなくなりました。
アルタミラ洞窟
アルタミラ洞窟の洞窟壁画は、1879年に領主であり、アマチュア考古学者であったマルセリーノ・サンス・デ・サウトゥオラ侯爵によって発見されたもの。壁画は、約1万8500年前のものと、約1万6500年~1万4000年前の2つの段階で描かれ、落石によって洞窟の入口が塞がれたため、保存状態は良好。
ここはマグダレニアン美術の傑作とも呼ぶべき洞窟壁画で、着色は樹脂に土、木炭、マンガンなどを使用して、岩肌の凹凸を使い、ぼかしつつ立体感を出すという高い技術力が見られます。
現在は外気に触れたことで痛みが酷くなっているため、非公開。近くの博物館にはレプリカがあり、岩絵の様子はそこで確認することができます。
アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器洞窟美術はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
アルタミラ洞窟が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
スペイン北部の石器時代の洞窟壁画は、初期人類の芸術であり、さらに後期旧石器時代になると独自の芸術様式が見られるということ。
登録基準(iii)
これらの壁画洞窟は、人類の文明の起源の一つであり、この時期は後期旧石器時代の狩猟社会におけるシンボルや精神性を壁画で表現した時期であったという点。
世界遺産マニアの結論と感想
アルタミラ洞窟を含めスペイン北部の旧石器時代洞窟壁画は、人類の文明のルーツが見られ、狩猟社会における彼らの自然感や精神などを表現したものとして評価されています。
ちなみに、アルタミラ洞窟のレプリカは首都マドリードの国立考古学博物館にもありますが、日本の「志摩スペイン村」の博物館でも見られるので時間とお金がない人は、そちらでぜひ鑑賞してみてください。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。