登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (5) |
登録年 | 1996年 |
クエンカは、マドリードから東へ20kmの距離にある岩山に築かれた要塞都市。ここはイスラム教徒によって建造された街で、その後スペインに奪還されるとスペイン初のゴシック様式の大聖堂や崖から吊されているように見える不思議な構造の「宙吊りの家」などが築かれ、地形を利用した景観が特徴的。
ここでは歴史的城塞都市クエンカがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、クエンカについて詳しくなること間違いなし!
歴史的城塞都市クエンカとは?
スペイン東部のカスティーリャ=ラ・マンチャ州にあるクエンカは、9世紀にイスラム教徒によって、フカール川沿いの石灰岩の岩山の上に築かれた要塞が起源。その後、12世紀にカスティーリャ王国のアルフォンソ8世がレコンキスタによってこの都市を奪還し、ここに王国の主要都市を建設しました。
クエンカは中世後期からルネサンス期に織物工業で大いに栄えました。旧市街は、岩山の上に築かれたため、市街地は約1kmに渡って続くのに対して幅は約300mの狭い土地で、崖の上に3〜4階建ての建築物がギリギリに並ぶという独特の町並みを持つようになります。
スペイン初のゴシック建設の一つである大聖堂の前にあるマヨール広場には、修道院や市庁舎など、壮麗な建造物が並び、17世紀には宗教都市としても発展。
しかし、17世紀後半〜19世紀には、老朽化された建設物が壊されてしまいます。よって、都市景観の保護のため1940年以降は修復が行われ、1996年には世界遺産に登録されました。
登録されている主な構成資産
クエンカ大聖堂
12世紀にモスク跡地に建造された大聖堂で13世紀に完成。当時はロマネスク様式が主流だったのですが、スペイン初のゴシック建設の一つとされます。壮麗なファサードは20世紀にネオゴシック様式で再建されたもの。
宙吊りの家
街のシンボル的建築物。15世紀には存在が確認されている邸宅で「宙吊り」と名付けられているものの、実際は宙吊りにはなっておらず、断崖からせり出すような構造になっています。かつては個人宅や議会として使用されていたもので、現在は美術館とレストランとして利用。
歴史的城塞都市クエンカはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
クエンカが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ここはかつてはイスラム教徒の要塞だったものを、教会や修道院を加えた宗教都市となり、その町並みが中世から現在まで保存されているという点。
登録基準(v)
12〜18世紀ににかけて岩山の上に築かれた都市は、それが周囲の自然と溶け込む景観を作り出しているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
クエンカは、岩山の上に築かれた要塞都市で、中世から残る景観を現在まで残すという点が評価されています。そして、自然の要塞ともいえる地形を利用した都市であるというのもポイント。
ちなみに、宗教都市として多くの聖堂や修道院が点在する都市でしたが、現在は高級ホテルチェーン・パラドールに改装された修道院もあり、雰囲気抜群のホテルとなっています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。