登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3), (4), (6) |
登録年 | 2017年 |
トルコ南西部の渓谷に位置するアフロディシアスは、都市遺跡と北東にある大理石の採石場で構成される遺産。紀元前3世紀にギリシャ神話の愛と美の女神アフロディーナの信仰が始まり、その後ローマ帝国と緊密な関係にありました。ここは神殿や劇場、広場などが残り、かつての繁栄が今でも見られるのが特徴。
ここではアフロディシアスがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アフロディシアスについて詳しくなること間違いなし!
アフロディシアスとは?
アフロディシアスは、トルコ南西部のメンデレス川によって形成された肥沃な渓谷に位置します。この地では紀元前3世紀からギリシャ神話の女神アフロディーナの信仰が始まり、神殿が築かれると、2世紀には都市が形成されました。ここはローマ帝国と親密な関係があり、ローマの元老院から税の免除を受けるほど。そして、近隣の採石場にで採れる大理石の産地として繁栄。彫刻制作で有名となり、帝国内にある大理石の彫像はここで制作されていたのです。
ビザンツ帝国時代もアフロディーナ神殿は教会として使用されたこともありますが、信仰は維持されたものの、11〜13世紀にはイスラム勢力に征服されると人口が減っていき、14世紀には放棄されてしまいます。現在の集落はゲイレと呼ばれ、遺跡は20世紀に発掘されたもの。遺跡には、アフロディーナ神殿を中心に劇場や浴場、広場、競技場など点在して、保存状態も良好です。
アフロディシアスはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
アフロディシアスが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
アフロディシアスは、大理石の産地であり、ここではギリシャやローマの伝統を受け継ぐ、優れた彫刻家が生まれ、1〜5世紀にはローマ帝国内にアフロディシアスで作られた彫刻作品が多く出回っていたという点。
登録基準(iii)
アフロディシアスの石切場と彫刻作品は、ローマ帝国内でも数少ない彫刻の工房の存在を示し、帝国内最大の大理石彫刻の中心地であったということ。
登録基準(iv)
アフロディシアスには、大理石を使用した建設物が並び、アナトリア半島の内陸にあるギリシャ・ローマ都市の中でも優れた建築物が見られるという点。
登録基準(vi)
アフロディシアスで崇拝されているアフロディーナは、ギリシャの愛と美の女神である側面がありますが、アナトリア半島で古代から崇拝されている豊穣神の側面も合わさり、ローマ帝国の地中海沿岸都市にはアフロディーナの彫像が築かれるほどに強い信仰が見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
アフロディシアスは、大理石の一大産地であったことから、彫刻の工房も帝国内トップクラスで、現在でもここで作られた作品が帝国の各地に残るという点で評価されています。そして、アフロディーナはローマ帝国でも広く信仰された女神で、ここが信仰の場であったということもポイント。
ちなみに、大理石の「大里」は中国の雲南省に10~13世紀に存在していた国がルーツの言葉で、この国で産出される石材が大理石であったことから、その名が付けられたとか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。