登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (5) |
登録年 | 2021年 |
伊勢堂岱遺跡は「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産の一つ。1992年発見と比較的最近発掘された遺跡ではありますが、4つのストーンサークルがある貴重な遺跡。ところで、伊勢堂岱遺跡ってどんな遺跡なのでしょうか?
ここでは、今回は伊勢堂岱遺跡がなぜ世界遺産の構成資産に含まれたのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、伊勢堂岱遺跡について詳しくなること間違いなし!
伊勢堂岱遺跡とは?
秋田内陸縦貫鉄道の縄文小ヶ田駅から徒歩数分。読み方は「いせどうたいいせき」で、少し小高い丘にの上に位置する縄文時代後期の遺跡。発見されたのは1992年と割と最近で、大館能代空港への道路の工事をしている際に偶然発見されたもの。その後、学術調査で4つのストーンサークル(環状列石)が見つかり、それぞれが保存状態もよく、2001年には国の史跡に登録されました。
4つのストーンサークルはそれぞれ大きさも違えば、形も違うという不思議な構造。ストーンサークルAは日時計のような組石から見ると夏至の日に太陽が沈むような構造になっていることから、何かしらの祭祀施設であったと考えられれます。
ストーンサークルBの中心には土坑墓があり、土偶も発掘されています。つまり、共同墓地でもあったけど、祭祀の場であった可能性も。最近発見されたばかりでまだまだ不明な点も多く、これからの研究が期待されます。敷地内にある掘立柱建物跡は展望台や祭祀施設とされてはいますが、ここも詳しいことはまだ不明。
伊勢堂岱縄文館で「いせどうくん」に出会う?
遺跡はストーンサークルくらいしか残っていないので、正直イメージしづらい…。と、そんな人はストーンサークルで発見された土偶やその破片を見るなら丘の下にある「伊勢堂岱縄文館」へ。
展示室は、伊勢堂岱遺跡で発見された板状土偶など、出土品がたくさん。しかも、遺跡を解説した映像も流しているので、イメージしやすくなるのがありがたいですよ。映像のクオリティーもかなり高め。
ちなみに、ストーンサークルBから発見された板状土偶がシンボル的な存在で、マスコットキャラクターにまでなっています。愛称は「いせどうくん」とゆるキャラのような名前。
伊勢堂岱遺跡はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
伊勢堂岱遺跡が評価されたのは?以下の点。
登録基準(iii)
北海道・北東北の縄文遺跡群は、土器や土偶などの遺物、墳墓、土塁、ストーンサークルなど、世界的に珍しい定住型狩猟社会の文化を示すものであるということ。
登録基準(v)
北海道・北東北の縄文遺跡群は定住地の出現から成熟期までの土地利用が見られ、縄文時代の人々は、食料が採れる川の近くや干潟、森など、農耕社会のように定住地を大きく変えることなく、自然と適応しながら狩猟採集生活を維持してきたという点。
世界遺産マニアの結論と感想
北海道・北東北の縄文遺跡群というと、どれもアクセスがいまいちな遺跡が多いのですが、ここは秋田内陸縦貫鉄道も近くに通っていて便利。ちなみに、これだけの数のストーンサークルがあるのは、多くの遺跡の中でも伊勢堂岱遺跡だけ。ストーンサークルゆえに遺跡そのものはシンプルではありますが、隣接された博物館できちんと解説されているのはありがたいですね!
そして、遺跡から白神山地を眺めることができるのも素晴らしい点。ストーンサークルと白神山地という「ダブル世界遺産」が眺められるのは、世界広しといえどもここだけかもしれません。世界遺産マニア的にもたまりません!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。