登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (9),(10) |
登録年 | 2001年 |
キューバ北東部に位置する広大な公園。ここはカリブ海に面した山岳地帯を含み、氷河期にカリブ海一帯の生物の避難所となったために、固有種を含む生態系が見られます。公園の名前はドイツの偉大な地理学者であるアレハンドロ・デ・フンボルトがキューバを訪れたことにちなんだもの。
ここではアレハンドロ・デ・フンボルト国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園について詳しくなること間違いなし!
アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園とは?
キューバの東部のオルギン州とグアンタナモ州にまたがる総面積約780平方kmにも渡る広大な国立公園です。ここは海岸沿いに面したニペ・サグア・パラコア山地を中心に森林で覆われ、標高220mから1175mまでの高低差がある山岳地帯でもあります。
名前の由来であるアレハンドロ・デ・フンボルト(1769〜1859年)はドイツ出身の学者で、近代地理学の基礎を築いた人物。彼は中南米を調査旅行した際、1800〜1801年にキューバを訪れたこともあり、この体験から『コスモス』という地理学の古典という書を執筆します。
この地は常に貿易風にさらされていて、キューバでも最も雨が多いエリアで、森林に覆われた山々からキューバ最大のトア川が流れ、生物多様性が見られます。岩石や土壌は蛇紋石やかんらん岩などであるため、非常に独特な生態系が育まれ、半落葉広葉樹林や松林にマングローブなど、多種多様な木々が見られるというのが特徴。そして、ここは氷河期を乗り越えた、カリブ海周辺の生物の避難所でもあります。
1300種以上の種子植物と145種のシダ植物が存在し、そのうち900種以上がキューバの固有種で、340種以上がこの地域独特のもの。さらに、哺乳類と昆虫の約3分の1、鳥類の5分の1、両生類と爬虫類の大半はキューバの固有種であるほどに多様性が見られます。海岸には絶滅危惧種のアメリカマナティーも生息。
アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ix)
アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園は、地形と土壌の種類が豊富で、ここは氷河期は生物の避難所でもあり、この地域独自の進化をもたらしたもの。この地域の岩石や土壌には蛇紋石やかんらん岩が見られ、植物が育ちづらく、固有種を含む生体の進化をもたらすのに重要な役割を果たしているという点。
登録基準(x)
アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園は、キューバの陸生生物と淡水生物の多様性を保護していて、特に多くがこの地域特有の固有種である、多様な熱帯性生態系の一つ。植物の場合は4分の3は固有種であり、脊椎動物と無脊椎動物の固有率も高く、ここで見られる進化の過程は、科学者にとっても重要であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園は、カリブ海においても非常に生物多様性が多く見られる地であり、動植物においては固有率も高く、独自の進化が見られ、科学者たちにとっても需要であるという点。
ちなみに、オルギン州は、1492年にクリストファー・コロンブスが訪れた場所で、ここからキューバという国の歴史はスタートしました。彼はこの地を歩き、「今まで見た中で一番美しい国だ」と語ったそうですが、その後スペイン人によってあっという間に征服してしまいます。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。