登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4),(6) |
登録年 | 1979年 |
チェニジア中部にある都市エルジェムには、最大3万5000人が収容できるという円形闘技場があることで有名。これは世界でも3番目の規模を誇るもので、ベルベル人の要塞だった時期もありますが、保存状態も良好です。そして、ローマのコロッセウム以外では唯一3層構造を残すというのが特徴。
ここではエルジェムの円形闘技場がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エルジェムの円形闘技場について詳しくなること間違いなし!
エルジェムの円形闘技場とは?
チュニジア東岸・マーディア県にあるエル・ジェムは、ローマ時代は地中海交易で栄えたカルタゴに次ぐ「ローマの穀倉地帯」と呼ばれるほどに豊かな地でした。200年ころに建造が始まった円形闘技場は、ローマのコロッセウムをモデルにしていて、切石を積み重ねて建造し、長経148m、短径122m、高さ40m、収容人数は最大で3万5000人と、ローマのものとイタリア南西部のカプアのものと続いて、世界でも3番目の規模を誇る円形闘技場となっています。
その後、ローマ帝国が衰退すると、円形闘技場はベルベル人の要塞として利用され、17世紀まで原型を保っていたものの、オスマン帝国によって一部は破壊されました。現在の円形闘技場はローマのコロッセウム以外で唯一3階部分を残しているのも特徴。ここは階段状の座席が残っていて、アリーナの地下通路や入口なども当時のまま見られます。
エルジェムの円形闘技場はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エルジェムの円形闘技場が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
エルジェムの円形闘技場は、平地に建造され、複雑なアーチの構造によって支えられた北アフリカでも独特な建造物の一つで、ローマのコロッセウムに匹敵するローマ建築の中でも完成度が高いものの一つであるという点。
登録基準(vi)
エルジェムの円形闘技場は、首都ローマから離れた地に作られた建造物で、大衆向けに剣闘士や猛獣と戦わせるという見世物が楽しめるエンタメ施設として設計されていて、これはローマ帝国の宣伝活動でもあったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
エルジェムはローマ帝国の穀倉地帯であっただけに、帝国からすると重要な地で、ここは首都に匹敵するほどの巨大な円形闘技場が建造され、これは大衆に向けたエンタメ施設であるということもあり、帝国の広報活動の一環でもあったという点でも評価されています。
ちなみに、エルジェムの土産として有名なのは「砂漠の薔薇」と呼ばれる好物で、硫酸カルシウムや硫酸バリウムなどが砂と合わさり、薔薇のような形になるもの。ドラクエ3こと『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』にも同じ名前のものが登場しましたが、本当に薔薇の花弁のように見えるから不思議。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。