登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (3), (4), (5) |
登録年 | 1997年 |
上海市の西部に位置する蘇州は水路が張り巡らされた古都。街には、主に16〜18世紀の明や清時代に建設された庭園「古典園林」が残り、中国四大名園のうち2つがここにあるというほどに、庭園文化が栄えた都市でした。
ここでは、蘇州古典園林がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、蘇州古典園林について詳しくなること間違いなし!
蘇州古典園林とは?
上海市西側に位置し、江蘇省の東南部にある蘇州は、紀元前6世紀の呉の首都になった時代から存在する歴史ある街。やがて蘇州と呼ばれるようになり、街の西側に位置する太湖の水を利用して、水路が張り巡らされ、水運の中心地として発展しました。
ここには皇帝が築いた庭園文化に触発され、4〜18世紀まで官僚や豪商などによって庭園が築かれてきました。これらの庭園は「古典園林」と呼ばれ、その数は50もありますが、そのうちの9つが世界遺産として登録。これは古代から都市部に住む知識層が、豊かな水を利用して自然景観を再現したもの。
庭師によって池を中心に自然空間が再現され、楼閣や回廊を配するなど、明朝時代に確立された庭園様式は中国各地に広がっていき、やがて西洋にも影響を与えるようになりました。
登録されている主な構成資産
拙政園
16世紀の明代に建設された、中国四大名園の一つ。敷地は約5万平方m以上で蘇州でも最大の庭園。もともとは12世紀に建造されたもので、唐代に活躍した陸亀蒙の庭園であったとされ、明代になると役人であり、詩人であった王翔城がここに庭園を築き、隠居生活を送りました。園内には大きな池に島が点在し、それを建築物や橋などで結ぶという構造。よって、まるで大自然にいるかのような景観が見られます。
留園
16世紀に元役人であった徐泰時により建設された庭園が起源となったもの。約面積は3万平方m以上で、園内には仮山奇石(築山)という奇石を多く配しているのが特徴。
蘇州古典園林はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
蘇州古典園林が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
古典園林は、伝統的な中国文化が見られる庭園の傑作であるという点。
登録基準(ii)
ここでは2000年以上に渡って造園技術が発展し、この庭園様式は中国各地だけではなく、世界の庭園文化にも影響を与えているということ。
登録基準(iii)
古典園林は、中国の知識人たちが自然と調和したいという願望から生まれたものであるという点。
登録基準(iv)
古典園林の造園技術は、文化や科学の発展なども見られ、この地域の庭園デザインの最も優れた例であるということ。
登録基準(v)
古典園林は、この地域の人々の暮らしを反映し、伝統的な中国の住居と自然との調和が見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
古典園林は、明や清時代の知識人によって作られ、邸宅と自然との調和がテーマになっているという点で優れたものであり、それが中国の各地に伝えられ、さらに世界の庭園文化にも影響を与えていたということで評価。
ちなみに、中国四大名園は、拙政園と留園の他にも、北京の頤和園、承徳の避暑山荘とされていて、どれも世界遺産というから恐ろしいことです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。