登録区分 | 複合遺産 |
登録基準 | (2), (7), (10) |
登録年 | 1990年 |
中国南東部にある黄山は名勝として知られ、「天下の名勝、黄山に集まる」と言われるほどに美しい景観が広がるエリア。奇松、怪石、雲海、温泉という「黄山四絶」という特徴を持ち、ここは唐の玄宗を含め、多くの皇帝や画家、詩人に愛され、さまざまな作品のモチーフにされてきました。
ここでは黄山がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、黄山について詳しくなること間違いなし!
黄山とは?
安徽省・南部にある黄山は、秦の時代から「黟山(いざん)」と呼ばれていましたが、唐の皇帝・玄宗が黄山と改名。これは中国の伝説上の王、黄帝がここで仙人になったという伝説にちなんで名付けられたもの。そして、ここは道教や仏教の聖地となり、寺院が建設されるようになりました。標高1000m級の山々が並び、三主峰と呼ばれる蓮花峰(標高1864m)、光明頂、天都峰を中心に77もの峰があります。
特にこの地は「黄山四絶」と呼ばれ、奇松、怪石、雲海、温泉の4つの景観が見られるということが特徴。奇松は、高地で見られる固有種「黄山松」のことで、岩山の上に生息し、樹齢100年を超える、変わった形をした松です。この独特な景観が見られることから「天下の名勝、黄山に集まる」と呼ばれるようになりました。
文化遺産
霧や雲が岩山にかかると、仙人が住むような風景が見られるため、ここは16世紀以降、多くの詩人や画家たちによって作品のテーマとなりました。特に多くの山水画のモチーフになっています。
自然遺産
中国の苔類の3分の1、シダ植物の半分が見られるというほどに豊かな自然が見られます。他にも絶滅危惧種のウンピョウやコウノトリなどが生息していることでも有名。
黄山はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
黄山が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
黄山の景観は、16世紀以降、詩人や画家によってテーマとされ、特に山水画では黄山がモチーフとされ、その後の中国の芸術に影響を与え続けたという点。
登録基準(vii)
黄山は、1000meを超える77の峰が見られ、ここは雲や霞にかかった、松が生えた岩山が並ぶ独特の風景が見られるということ。
登録基準(x)
中国の苔類の3分の1、シダ植物の半分が見られ、固有種も生息しています。そして、哺乳類48種、鳥類170種、爬虫類38種、両生類20種、魚類24種などが生息し、絶滅危惧種のウンピョウやコウノトリなどが見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
黄山は、その岩山に雲がかかるという山水画のモデルとなった風景だけあって、中国美術に影響を与えているという点で評価されています。自然遺産としては、美しい山々だけではなく、植物の豊富さ、ウンピョウやコウノトリのような絶滅危惧種も見られるというのもポイント。
ちなみに、日本でもおなじみの「お地蔵さん」こと地蔵菩薩の聖地は黄山の北側にある九華山。ここは新羅(現在の朝鮮半島)からやってきた和尚がここで入滅し、その姿が生前と全く変わっていなかったことから、地蔵菩薩と同一視する信仰が生まれました。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。