登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4), (5) |
登録年 | 1990年 |
ボリビア東部には17〜18世紀にかけて、イエズス会によって理想的な共同体を目指し、レドゥクシオン(伝道所)が建設されました。現在は6つの伝道所が世界遺産に登録。これらはヨーロッパと先住民の建築様式が融合されたメスティソ様式が見られ、サン・ラファエル伝道所には美しい木造の円柱彫刻などが残っています。
ここではチキトスのイエズス会伝道所群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、チキトスのイエズス会伝道所群について詳しくなること間違いなし!
チキトスのイエズス会伝道所群とは?

ボリビア東部のサンタ・クルス県のチキトス地方には、16世紀のイギリスの法律家で人文主義者であるトマス・モアが唱えた「理想的な共同体」に影響を受けたイエズス会の修道士たちが設立した、サン・フランシスコ・ハビエル、サン・ラファエル、サン・ホセ、コンセプシオン、サンタ・アナ、サン・ミゲルなど、6つのレドゥクシオン(伝道所)が世界遺産に登録されています。
これは17世紀末にキリスト教の布教を目的に密林を切り開いて設立されたもの。しかし、1768年にイエズス会は南米から追放されていまい、1850年には伝道所としての機能は失うこととなりました。
これらのレドゥクシオンは、十字架を置いた広場を中心に三方が先住民の住居となっていて、一方には教会や工房、学校などが配置されていました。教会はヨーロッパと先住民の建築様式が融合したもので、一部の教会以外はほとんど切妻屋根となっていて、内部は木製の柱で仕切られた3つの身廊があるという独特のもの。これらは「メスティソ様式」と呼ばれ、1696年設立のサン・ラファエル伝道所は木造の円柱彫刻などが見られます。
チキトスのイエズス会伝道所群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?



チキトスのイエズス会伝道所群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
チキトスのイエズス会伝道所群は、二重勾配であり、大きなポーチ屋根を備えた大きな建造物で、キリスト教の宗教建築を先住民の伝統に適応しながら設計されたもの。木製の柱で仕切られた3つの身廊などがあり、サン・ホセの伝道所以外は木造で建造された独自の建造物であるという点。
登録基準(v)
チキトスのイエズス会伝道所群は、サンタ・アナ伝道所などに代表される大衆の芸術品であるものの、1953年の農地改革後による地域社会やインフラの変化によって存続が危ぶまれているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
チキトスに残る6つのイエズス会の伝道所は、ヨーロッパのキリスト教建築に先住民の建築様式が融合した独特のもので、ほとんどが木造であるという点で評価されている一方、現在は社会やインフラの変化によって存続が危ぶまれています。
ちなみに、サンタ・クルス県は南米でも初めて日本人の移住地でもあり、オキナワ移住地やサンフアン移住地は今でも日系人によって米や卵、大豆などが生産しながら暮らしています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。