登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (8), (9) |
登録年 | 2001年 |
スイスのアルプス山脈にあるユングフラウは「若き乙女」という名の標高4518mの名峰。頂上付近にはヨーロッパ最大のアレッチ氷河があり、周囲は氷河によって削られて形成された独特の地形を眺めることができます。この絶景は芸術や文学のテーマとしてヨーロッパ文化に重要な役割を果たしてきました。
ここでは、スイス・アルプスのユングフラウとアレッチがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ユングフラウとアレッチ氷河について詳しくなること間違いなし!
スイス・アルプスのユングフラウとアレッチとは?
登録範囲は、全長約23kmにも及ぶアレッチ氷河とその周辺。北側にはユングフラウ、メンヒ(標高4107m)、アイガー(標高3970m)の名峰が並び、南側はマッサ川の峡谷の手前まで登録されています。よって、遺産名には「ユングフラウ」という名前が入っているるものの、実際はアレッチ氷河をメインに登録されているので要注意。
ユングフラウは「乙女」や「処女」などといった意味の名峰です。これらのアルプス山脈が形成されたのは、4000万年〜2000万年前。アフリカ大陸プレートが北へ向けて移動したことで、大地が隆起してアルプス山脈が形成されました。そして、氷河期になると、一帯には氷河が形成。この氷河が谷を削り、U字谷や岩石などが盛り上がったモレーンが形成され、このような地形が一帯には何箇所も点在。
スイス・アルプスのユングフラウとアレッチはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ユングフラウとアレッチ氷河が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
アイガー、メンヒ、ユングフラウの山頂が並ぶ風景とアレッチ氷河は、ヨーロッパの芸術や文学、そして、登山文化においては重要な役割を果たしたという点。
登録基準(viii)
大地の隆起と氷河によって形成された地形は、地球の歴史と気候変動などが分かるということ。
登録基準(ix)
標高が上がるにつれ、植物は人間に影響を受けることなく、独自の生態系を築き、森林限界などで生息している植物の差異などが分かるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
この遺産は氷河が作り出した地形と高地の自然環境に焦点を当てて評価されています。もちろん、ユングフラウは芸術や文学などでしばしば登場するし、現在も観光客や登山客が多く訪れることから、文化的側面としても評価されていますが、なぜか複合遺産ではないのです。
ちなみに、アレッチ氷河を眺めるには、麓のインターラーケンから登山鉄道を乗り継いで、ユングフラウ鉄道を訪れるのですが、これはアイガーとメンヒの地下洞窟を通って展望台のあるユングフラウヨッホ駅に向かうので、ユングフラウの下は通らないのです。なんだか「ユングフラウ」というワードが強すぎて、位置関係がイマイチ分からなくなるのがこの遺産です。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。