登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4),(6) |
登録年 | 1985年 |
カナダ東部の古都ケベック・シティー。旧市街は城塞都市としての名残を今も残していて、シャトー・フロンテナック(ホテル)や教会などがあるアッパー・タウンは行政の中心で、下町的雰囲気の残るロウワー・タウンは商業や海軍施設が残っています。
ここでは、ケベック旧市街の歴史地区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ケベック旧市街について詳しくなること間違いなし!
ケベック旧市街の歴史地区とは?シャトー・フロンテ ナックがシンボル!
カナダ東部のケベック州の州都ケベック・シティーは、17世紀に設立された北米で唯一残る城塞都市。フランスから派遣された地理学者であり、探検家であったサミュエル・ド・シャンプランが17世紀にここで城塞を作ったことから街の歴史が始まります。ここは「ヌーベルフランス(新しいフランス)」の首都となったものの、当時はイギリスとフランスが競っていて、1760年以降はイギリスの植民地となりました。1774年にケベック法を制定して、フランスの民法やフランス語の使用などが認められ、今でもフランスの雰囲気が残っています。
街は西側の丘の上にあるアッパー・タウンと東の湊川にあるロウワー・タウンで構成されています。アッパー・タウンは、城壁に囲まれていて、シタデル(要塞)や教会などが集まるエリア。ロウワー・タウンは、商業エリアでもあり、海軍施設などが残る地区です。19世紀末に城塞を破壊することも検討されましたが、結局、保護されることとなり、現在はクラシックな雰囲気が残る町並みになりました。
登録されている主な構成資産
シャトー・フロンテナック
アッパー・タウンにある高級ホテルで、ケベック・シティーのシンボル的存在。カナダ太平洋鉄道によって1893年に開業した、合計で600もの部屋を持つシャトースタイルのホテルです。フレンチ・ロマネスク風の装飾が施されていて、レンガ造りの外観が特徴。
ノートルダム聖堂
アッパー・タウンに立つ1647年に建造されたカナダ最古の教会。何度も火事によって崩壊して、現在のものは20世紀初期に再建されたもの。ローマカトリックの教会で、ヌーベルフランスの首相やケベック司教などが眠っています。
ラ・シタデル
ロウワー・タウンにある1673年に着工した城塞。18世紀に本格的な要塞へと改築されます。現在の星形要塞になったのは19世紀になってから。敷地内には総督公邸や砦など、25の建造物が残ります。衛兵交代式がフランス語で行われるということでも有名。
プチ・シャンプラン通り
ロウワー・タウンの商業地区。多くの店やレストランが所狭しと並び、石畳の道は古き良きケベックの旧市街の雰囲気を残しているエリアです。
ロワイヤル広場
ロウワー・タウンの中心にあり、ルイ14世の胸像が置かれている広場。ケベック・シティーでも最も古いエリアで、交易所があったことから商業の中心でもありました。広場の南にある勝利のノートルダム教会は17世紀に創建されたもので、現在の建築物は19世紀のもの。
ケベック旧市街の歴史地区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ケベック旧市街が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
歴史地区は、植民地時代の城塞都市として保存状態がよく、北米で当時の城塞が残っているのはケベックだけであるという点。
登録基準(vi)
ケベックの歴史地区は、ヌーベルフランスの首都として、ヨーロッパ国家による入植の段階を示しているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
北米で唯一残る城塞都市ということで、保存状態もよく、フランスの植民地時代の名残も多く残っている点で評価されています。
ちなみに、同じカナダにあるバンフ・スプリングス・ホテルはかなり外観が似ていますが、同じ設計者が作ったもの。こちらのほうが開業が少し早く、現在でも同じグループで経営されています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。