登録区分 | 文化遺産 危機遺産2016年〜 |
登録基準 | (3) |
登録年 | 1985年 |
リビア南西部にある砂漠地帯の岩肌には、紀元前1万2000年前頃から紀元前後になるまで岩絵が描かれました。岩絵には紀元前8000年頃まではゾウ、サイ、キリンなど描かれ、やがて馬などを中心に牧畜の様子が描かれるようになり、内容の変化からここがかつて緑の大地であったと考えられ、環境の変化が分かるもの。
ここではタドラルト・アカクスの岩絵遺跡群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、タドラルト・アカクスの岩絵遺跡群について詳しくなること間違いなし!
タドラルト・アカクスの岩絵遺跡群とは?
アルジェリア国境にも近い、リビア南西のガットの町の郊外に位置するタドラルト・アカクス。「タドラルト」とは山を意味していて、ここはサハラ砂漠でも最も厳しい気候が続くエリアで、砂丘やアーチ型の岩石、渓谷などの景観が広がっています。この地には紀元前1万2000年前ころから紀元前後になるまで、いくつもの線彫刻画の岩絵が描かれ続けました。
岩絵は紀元前8000年頃まではゾウ、サイ、キリンなどのサバンナで生息する大型の哺乳類が描かれていて、紀元前8000年〜4000年になると狩猟の様子が分かる彩色画、紀元前1500年頃にまでには馬に乗った人物などが見られる牧畜を中心とした生活が描かれるにようになり、かつてはこのエリアが緑の大地だったことを示しています。紀元前数百年前後までは馬、その後は乾燥地帯になったためにラクダなどが描かれていて、岩絵の変化から古代の生活と環境の変化が分かるというもの。
危機遺産(危機にさらされている遺産)
2016年にリビアの内紛による建造物の損壊の可能性から、他のリビアの世界遺産同様に危機遺産に登録。
タドラルト・アカクスの岩絵遺跡群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
タドラルト・アカクスが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
この地に残る岩山には紀元前1万2000年前に遡り、全く異なる岩絵が何千も点在しています。岩絵からは、この地で見られる動植物の変化が反映されていて、サハラ砂漠で暮らす人々の生活様式の変化も反映されているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
リビア南西部はサハラ砂漠の北側となっていて、ここは現在は不毛の大地が広がっていますが、いくつも残る岩絵からはかつてはここが緑の大地であったことがわかり、この地で暮らす動植物の変化だけでなく、人々の生活様式の変化も見られるという点で評価されています。
同じくアルジェリア南西部にある岩絵の世界遺産「タッシリ・ナジェール」までは約250kmほどしか離れておらず、ここもサバンナの動物が描かれていたことから、このエリアには緑豊かな大地が広がっていたとを考えられています。既に人類が暮らしている時代でもこれだけの気候変動があったことで驚きですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。