登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (6) |
登録年 | 2011年 |
ヤズドはイラン高原の真ん中にあるオアシス都市。地下水を汲み上げるために開発されたカナートというシステムを駆使して都市が作られました。ヤズドには、バザール、ハマム、モスク、庭園…土で作られた家々が並ぶ、美しいオアシスの風景が今も残ります。
ここでは、ヤズドがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヤズドについて詳しくなること間違いなし!
ヤズドの歴史都市とは?カナートとはどんなもの?
ヤズドは、イランの砂漠にあるオアシス都市。砂漠にあるため、水は限られた資源。水はカナートと呼ばれる水路のシステムによって都市に運ばれてきます。実は町の各所はカナートの上に建てられており、町の人々の共有物。水路が地表に出る場所が井戸として、現在も人々に使用しています。
街の中心部が世界遺産に登録されており、風を取り込むバードギール(採風塔)、中庭、厚い土壁……快適に過ごすための構造が現在も残っていて、オアシス都市らしい雰囲気が見られます。近代化が進むイランでも旧市街がまるごと残っているのもポイント。
市内にある「ドーラト・アーバード庭園」はザンド朝時代の18世紀半に建造された庭園で、当時のヤズドを治めていた太守がカナートと呼ばれる地下水システムを利用して建造した、事務所兼宮殿。バードギールの高さ33.8mとイランだけでなく、世界最大のもの。もともと庭園には6つの塔があったとされますが、20世紀に一つだけ再建されました。
さらに市内の地下に広がるカナートは「ペルシア式カナート」として世界遺産に登録されています。
ヤズドはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヤズドが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ヤズドには、モスク、ゾロアスター教の拝火神殿、シナゴーグ、霊廟、ハマム、バザールなど、各宗教の建物が組み合わされています。イスラム教、ユダヤ教、ゾロアスター教など、さまざまな宗教が平和的に共存できているという点。
登録基準(v)
乾燥した環境で生きることが可能なカナートなど、自然との共存しているという点。
中心部には、伝統的な家屋、バザール、ハマム、モスク、シナゴーグ、ゾロアスター教寺院、そしてペルシア式の庭園が点在し、それらは現在でも町の人々に活用されています。そして、イスラム教、ユダヤ教、ゾロアスター教の3つの宗教が平和的に共存しているというのも評価。
世界遺産マニアの結論と感想
ヤズドの歴史は3000年以上もある歴史深い都市。ゾロアスター教の寺院も多く残っていて、イスラム化するのも時間がかかるほどに、ゾロアスター教の中心地でした。町の郊外には沈黙の塔と呼ばれる「鳥葬」を行う施設も残っています。ちなみに、この鳥葬はゾロアスター教徒ならではの埋葬方法で、自然に任せるのが一番とされています。…心臓の弱い方は画像を決して検索しないように!
こんなアンティークな世界が現在でも残る町ですが、実はイラン最大の光ファイバーのメーカーがあって、情報産業をメインとした企業もあったりと、新旧入り交じるヤズドの姿もまた興味深いですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。