登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3) |
登録年 | 2001年 |
ドイツ西部のエッセン市は炭鉱で栄えた工業都市。ドイツ関税同盟(ツォルフェアアイン)によって築かれた炭鉱は、かつて世界最大規模の採掘量を誇り、今でも20世紀に建造されたモダニズム建築が残されています。これらは150年に渡る鉱業の発展と衰退を示す産業遺産として登録。
ここではエッセンのツォルフェアアイン炭鉱業遺産群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群について詳しくなること間違いなし!
エッセンのツォルフェアアイン炭鉱業遺産群とは?
エッセンは、ドイツ西部にあるノルトライン=ヴェストファーレン州にある都市で、ヨーロッパを代表する工業地帯に属しています。ここは19世紀当時に発足し、バラバラだったドイツの経済圏を統一するという「ドイツ関税同盟(ツォルフェアアイン)」によって設立された炭鉱が1847年に建造され、やがて世界最大規模の採掘量となりました。第二次世界大戦頃までナチス・ドイツ政権を支える基盤となりましたが、戦後は石油が重視されるようになると衰退していき、1986年に炭鉱は閉鎖。
敷地内には、現在でも炭鉱と関連施設が点在していて、19世紀半ばから使用されてきた採掘杭や石炭の加工工場、線路、所長の邸宅、労働者たちのための住宅が残っています。
特に有名なのは現在は州立デザインセンターとして利用されている第12炭鉱のボイラー棟。ここは美術と芸術の学校・バウハウスの影響を受けたモダニズム建築でもあります。
エッセンのツォルフェアアイン炭鉱業遺産群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ツォルフェアアイン炭鉱業遺産は、近代建築概念が適用された例で、建築物そのものがモノを生産するために設計された産業遺産であるという点。
登録基準(iii)
ツォルフェアアイン炭鉱業遺産は、卓説したモダニズム建築によって設計・開発された、ヨーロッパの重工業の発展期を代表するものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
かつては世界最大規模の炭鉱施設であったということで、ここは作業効率を高めるために、モダニズム建築が多く導入された、ヨーロッパの重工業のルーツ的な存在という点で評価されています。
ちなみに、第12炭鉱のボイラー棟は国際的なプロダクトデザイン賞であるレッド・ドット・デザイン賞を獲得したプロダクトが飾られています。例えば、AppleやBMW、そして、ヤマハのオートバイも飾られたことも。エッセンはまさに産業の「聖地」でもあるのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。