登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3),(4),(5) |
登録年 | 2007年 |
チェコ北西部のウースチー州にあるジャテツは、高級ホップであるザーツホップの産地であり、ザーツホップは今でも多くのチェコビールで使用されています。街にはホップを加工・乾燥・貯蔵するための施設が多く並び、細長い煙突が並ぶという独特の景観が見られるのが特徴。
ここではジャテツとザーツホップの景観が、なぜ世界遺産なのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ジャテツについて詳しくなること間違いなし!
ジャテツとザーツホップの景観とは?
チェコの北西部に位置するジャテツは、周囲の盆地を含めて、乾燥気候と豊富な地下水によってビールの原料となるホップの名産地です。ジャテツは、現在のチェコビールで使用されるホップの2/3を占めるというザーツホップの産地で、中世から続く伝統が見られます(14世紀にはその存在が確認できるそう)。すでに18世紀にはザーツホップは広く知られるようになり、19〜20世紀には、ホップの栽培と加工技術で大いに繁栄しました。
街の北部には、18世紀に城を改装して運用を開始したジャテツ醸造所があり、今でも運用されています。建築物の屋根は低い切妻になっていて、ホップをロフトに運ぶための大きな窓や換気のための屋根窓を持つというのが特徴。そして、ホップの乾燥小屋には細長い煙突が設けられているということから、遠方から眺めると煙突が並ぶという独特な町並みを眺めるができます。
ジャテツの周囲には、ホップ畑が広がっています。ここは4月末になるとワイヤーが架けられ、夏になるとホップの緑が一面に広がり、まるで「緑色の海」のような風景が続くというのが独特。
ジャテツとザーツホップの景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
チェコ政府が提出した暫定リストに記載されている登録基準としては、以下の点。
※これらは 2007年に暫定リストに記載された、チェコにおける基準です。
登録基準(iii)
登録基準(iv)
登録基準(v)
ジャテツとザーツ・ホップの文化的景観は、世界中のビールの生産に使用されているホップの品種とその取引によって何世紀に渡って形成されてきた景観です。ここには何百年に渡って、肥沃なホップ畑やその加工のための集落や建築物が含まれていて、ジャテツの中心部と19~20世紀にかけて拡張したエリアが登録。これらは中世後期から現代に至るまでのホップの栽培、加工、取引といった農業と経済の発展を示すという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ジャテツは、19世紀からザーツホップの産地の中心部であり、街にはホップの加工や取引をするための建造物が並び、今では近代的設備を導入しつつ、高級ホップとしての地位を維持しながらザーツホップが加工・取引が続けられているという点で評価されています。
ちなみに、身近なところでいうと、ザーツホップはサントリー社の人気銘柄「プレミアムモルツ」に使用されているので、日本人でもファインアロマホップを手軽に味わえることができますよ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。