フランスといえば、宮殿に併設した幾何学の庭園が美しい国として有名ですね。特に17世紀から左右対称・人工的な庭園様式「フランス式庭園」が確立され、全世界で流行しました。そんなフランスでは、世界遺産として登録された庭園はいくつあるでしょうか?
ここでは、フランスで世界遺産に登録された庭園を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
ヴェルサイユの宮殿と庭園
首都パリから南西へ22kmの距離にあるイヴリーヌ県ヴェルサイユには、ルイ14世からルイ16世まで暮らした豪華な王宮があります。建設が完了したのは18世紀になってからで、贅を尽くした宮殿はヨーロッパで最も優雅な宮殿となり、フランス・バロック様式の最高傑作となりました。
庭園はルイ14世もお気に入りで「王の庭園鑑賞法」という世界初のガイドブックを作り、庶民でも楽しめるようにするというのも庭園の目的でした。
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フォンテーヌブローの宮殿と庭園
首都パリから南西に約70km。フォンテーヌブローの広大な森には、12世紀からこの地に狩猟用の小屋があり、歴代の王のお気に入りの場所でもありました。
16世紀にはフランソワ1世によって豪華絢爛な宮殿が建設。広大な庭園に囲まれた宮殿は、ルネサンス様式とフランスの伝統様式が融合しているというのが特徴です。庭園も何度も増築されていきましたが、アンリ4世の時代に宮殿の東側に1200mもの長さの運河「グラン・カナル」を設置。
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シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷
パリから南へ約160kmの位置にあるシュリー=シュル=ロワールからフランス西部のシャロンヌまで、約300kmものロワール川沿いのエリアが登録。
川沿いには300を超える古城が点在。ここは「フランスの庭園」とも呼ばれるほど、城と庭園が織りなす美しい風景が広がっています。
アンボワーズ城
トゥールとブロアの間に位置するアンボワーズ城は、シャルル7世、ルイ11世、シャルル8世、フランソワ1世など、ヴァロワ朝の王が居城とした城。もともとはローマ時代から砦があったとされ、何度も拡張と改修が重ねられ、15世紀にシャルル7世の居城になります。そして、ルネサンス様式が取り入れられ、庭園はフランス式庭園の始まりにもなったほどに革新的なものでした。
そして、フランソワ1世が招いたレオナルド・ダ・ヴィンチはこの城の郊外で暮らし、城と隣接したサン・ユベール教会堂で埋葬されました。しかし、16世紀になると王族はここから撤退し、フランス革命やナチス・ドイツ侵攻によって何度も破壊され、修復を繰り返してきました。
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シュノンソー城
ロワール川の南に流れる支流にあるシェール川にかつてあった製粉所の跡地に建造された城。11世紀には既に邸宅があったとされますが、王族に献上されたのが16世紀。その後、歴代の王の愛妾が住むこともありましたが、最終的にはチョコレート業者のムニエ一族がここを所有。
城内には、フランソワ1世の寝室やルイ14世の居室など、歴代の王が滞在した時に使用した部屋もあり、ディアーヌの庭やカトリーヌの庭など、王にまつわる女性たちの名が付いた庭園なども見られます。
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ヴィランドリー城
アンドル=エ=ロワール県にあるヴィランドリーには、ルネサンス様式の庭園が広がる美しい城があります。ここは12世紀に存在していた城塞の跡に、16世紀になるとフランソワ1世(1494年〜1547年)の財務大臣によって城が建造。幾何学模様のルネサンス様式の庭園があることで知られます。
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チュイルリー庭園
パリの1区にあり、ルーブル美術館とコンコルド広場の間に位置する広大な庭園で、もともとは宮殿が存在しましたが、現座は庭園のみ残っています。16世紀にフランソワ1世(1494〜1547年)が母のためにここを購入し、瓦(かわら)の工房があったことから、チュイルリーと名付けられました。
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世界遺産マニアの結論と感想
フランス式庭園が生まれた国であるにもかかわらず、宮殿は有名なものの、意外にも世界遺産として登録されている庭園は宮殿に付随したものが多いという印象。とはいえ、庭園は常に植え替えられているし、景観としての価値ではなく、庭園史に残るようなものでないと世界遺産に選ばれない…という事情もありますね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。