世界遺産はもちろん、建物そのものが美しいから遺産に登録されるというのがありますが、中にはユニークな外観を持つ建造物も!ここでは、多くの世界遺産の中でも、面白い外観を持つ遺産だけを絞ってピックアップしました。世界遺産マニアがそれぞれを一覧にして分かりやすく解説していきましょう。
目次
アルベロベッロのトゥルッリ/イタリア
画像素材:shutterstockアルベロベッロは、南イタリアにあるプーリア州にある小さな町。ここには先史時代から石灰岩を使用した住居、トンガリ帽子ようなトゥルッリ(トゥルッロの集合体)が多く並ぶ街。
トゥルッリが多いエリアは2つあり、合計で1500軒以上のトゥルッリが残っています。トゥルッリは、さまざまな使用用途があり、シェルターや倉庫に使われることもあれば、小さな土地の領主や農民の住居としても利用されていました。
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あわせて読みたい イタリアの世界遺産「アルベロベッロのトゥルッリ」とは?世界遺産マニアが解説 はとんがり屋根を持つ住居トゥルッロとなりました。アルベロベッロの旧市街にはトゥルッロの集合体トゥルッリが1500軒以上もあり、これらは今でも現役の住居として使用されているもの。 ここでは、アルベロベッロのトゥルッリがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アルベロベッロについて詳しくなること間違なし! カサ・ミラ/スペイン


画像素材:shutterstockスペイン東部・カタルーニャ州の州都であるバルセロナ。この町には、カタルーニャ州出身の建築家アントニ・ガウディ(1852〜1926年)による作品が並んでいます。カサ・ミラは1906〜1910年に実業家のペレ・ミラの依頼によって建造されたもの。
切り出したままの石のように見える外観から、当初はバルセロナ市民から「石切場」と呼ばれるほどの評価でしたが、今では彼の代表的な建築物に。直線部分を持たないという独特の建築物で、外観の曲線は地中海をイメージ。
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あわせて読みたい スペイン・バルセロナの世界遺産「アントニ・ガウディの作品群」とは?世界遺産マニアが解説 スペイン東部の大都市バルセロナには、建築家アントニ・ガウディの7つの作品が世界遺産に登録されています。サグラダ・ファミリア贖罪教会の生誕のファサードと地下聖堂、グエル邸、カサ・ミラなどが代表的で、波のような曲線のデザインや破砕スタイルのモザイクなど、その斬新なスタイルは後世の芸術家たちに大きな影響を与えたもの。 ここでは、アントニ・ガウディの作品群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アントニ・ガウディの作品について詳しくなること間違なし! シーギリヤ・ロック/スリランカ


画像素材:shutterstock森に突如として現れる「シーギリヤ・ロック」は高さ約180mの花崗岩の上にある、5世紀末にシンハラ王国のカッサパ1世によって建造された天空都市。シーギリヤはスリランカの中部州のマータレーから北へ約65kmの位置にあります。
岩山の西側に描かれた「シーギリヤ・レディ」はスリランカ美術を代表する作品。華やかな衣装を着た天女を野菜や花、木などを使った染料を使って描いたフレスコ画で、王宮に住んでいた女性たちをモデルにしたとされています。
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あわせて読みたい スリランカの世界遺産「古都シーギリヤ」とは?シーギリヤロックに築かれた王宮跡を世界遺産マニアが解説 スリランカ中央部にあるシーギリヤは、高さ約180mの「シーギリヤロック」と呼ばれる花崗岩の上に築かれた要塞を中心とした都市遺跡。シンハラ王国のカッサパ1世によって建造された王宮は、世界でも稀に見る天空都市です。 ここでは、古都シーギリヤがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シーギリヤについて詳しくなること間違なし! ペーナ宮殿/ポルトガル


画像素材:shutterstockシントラはイベリア半島の最西端に位置するエリア。丘の上に位置するペーナ宮殿は、もともと18世紀の地震で廃墟となった修道院があり、19世紀に当時王配であったフェルディナンド2世によって宮殿に改装されたもの。
フェルディナンド2世はゴシック様式やルネサンス様式、イスラム様式などさまざまな要素が入ったユニークな宮殿に仕上げ、中世の世界を理想としたロマン主義の代表作となったもの。宮殿内は贅を尽くした様式で、漆喰の細工やだまし絵の壁など、ユニークな建造物が続いています。
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あわせて読みたい ポルトガルの世界遺産「シントラの文化的景観」とは?世界遺産マニアが解説 首都リスボンの郊外に位置するシントラは、12世紀にポルトガルが支配するようになると、それ以降はポルトガル王室の離宮が置かれた地。19世紀にフェルディナンド2世によって築かれたペナ宮殿はゴシックやルネサンス、イスラムなどさまざまな要素が入ったユニークな宮殿で、当時ヨーロッパで流行したロマン主義建築の代表作でもあります。 ここではシントラの文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シントラについて詳しくなること間違なし! バンベルク市街/ドイツ


画像素材:shutterstockバンベルクは、ドイツ南部のバイエルン州の北部にある歴史深い町。10世紀に東フランク王国の領土になると、11世紀に後の神聖ローマ皇帝となるハインリヒ2世が、ここに司教座を設立し、「バイエルンの真珠」と呼ばれるほどに繁栄。
旧市街の中心部に流れるレーグニッツ川に架けられた橋には、15世紀に人工島が建造され、島の建造物は18世紀に再建されたもの。こちらは市庁舎として利用されました。
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あわせて読みたい ドイツの世界遺産「バンベルク市街」とは?旧市庁舎を含めて世界遺産マニアが解説 ドイツ南部バイエルン州にあるバンベルクは、10世紀に東フランク王国の領土になると、11世紀に後の神聖ローマ皇帝となるハインリヒ2世が、ここに司教座を設立。彼はここを第2のローマにしようと計画し、大聖堂や修道院などを建造しました。やがてバロック建築が立ち並ぶようになると「バイエルンの真珠」と呼ばれるほどに繁栄。 ここではバンベルク市街がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バンベルクについて詳しくなること間違なし! 聖ワシリイ大聖堂(モスクワ)/ロシア


画像素材:shutterstockロシアの首都モスクワ。クレムリンに面した赤の広場は商人が多く集まる市場として発展。聖ワシリイ大聖堂は、1551〜1560年にかけて、イヴァン4世によって建造された大聖堂。
中央の主聖堂の周りに、8つのドーム型の玉ねぎ型の小聖堂が囲むという構造になっています。当初は「生神女」のための大聖堂でしたが、ワシリイという「佯狂者(正教会における聖人)」の小聖堂があることから聖ワシリイ大聖堂と呼ばれるようになりました。
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あわせて読みたい ロシアの世界遺産「モスクワのクレムリンと赤の広場」とは?その場所も含めて世界遺産マニアが解説 ロシアの首都モスクワ。14世紀に築かれた城塞は、大公の住処であり、ロシア正教の中心地でもありました。そして、その麓にある赤の広場は商人が多く集まる市場として発展。そこには聖ワシリィ大聖堂やレーニン廟など、ユニークな建造物が多く並びます。ここはロシアの歴史と密接に関わる場所でもありました。 ここでは、モスクワのクレムリンと赤の広場がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、クレムリンと赤の広場について詳しくなること間違なし! タ・プローム/カンボジア


画像素材:shutterstockカンボジア北西部のシェムリアップ州の州都シェムリアップ。この町の郊外には、東南アジアで最も有名な遺跡の一つであるアンコール遺跡があります。
タ・プロームは、12世紀に建造された寺院で、アンコール・トムを建造したジャヤーヴァルマン7世によるもの。仏教寺院として造られたものの、のちにヒンドゥー教寺院となりました。しかし、現在はガジュマルの木が建設物全体に食い込んでいるため、独特の景観を作り出しています。
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あわせて読みたい カンボジアの世界遺産「タ・プローム」とは?世界遺産マニアが解説 タ・プロームは「アンコール遺跡」の構成遺産の一つ。ここは崩壊した寺院や宮殿に樹木が食い込んでいて、不思議な景観が見られるのが特徴です。ところで、タ・プロームはなぜ世界遺産なのでしょうか? ここではタ・プロームがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、タ・プロームについて詳しくなること間違なし! ネムルト・ダウ(ネムルト山)/トルコ


画像素材:shutterstockトルコ南東部にあるネムルト山は標高が2134mもあり、周囲の山々でも最高峰。この山の山頂には、紀元前1世紀に建造された、コンマゲネ王国のアンティオコス1世(紀元前69〜34年)の霊廟があります。
山頂は、高さ約50m(かつては75m)、直径約150mの円錐形の巨大な墳墓とされる丘となっていて、これは人工的に作られたもの。東西のテラスでは、ギリシャとペルシャの神々が並ぶという、コンマゲネ王国の文化が見れられます。
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あわせて読みたい トルコの世界遺産「ネムルト・ダウ(ネムルト山)」とは?世界遺産マニアが解説 トルコ南東部にあるネムルト・ダウ(ネムルト山)の山頂には、5つの坐像が並ぶ巨大墳墓があります。ここは、コンマゲネ王国のアンティオコス1世(紀元前69〜34年)の霊廟とされていて、ギリシャとペルシャの神々が並ぶという、コンマゲネ王国の文化が見れられるもの。 ここではネムルト・ダウ(ネムルト山)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ネムルト・ダウについて詳しくなること間違なし! ソロモン・R・グッゲンハイム美術館/アメリカ


画像素材:shutterstockフランク・ロイド・ライトは、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ、ヴァルター・グロピウスと並ぶ「近代建築の四代大巨匠」の一人。彼の建築物には「プレーリースタイル(草原様式)」が見られ、水平ラインを強調するという独特なもの。
ニューヨークの「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」は内部が吹き抜けになっているという螺旋状の構造で、水平ラインを強調するプレーリースタイルが採用されています。
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あわせて読みたい アメリカの世界遺産「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」とは?世界遺産マニアが解説 アメリカを代表する近代建築家であるフランク・ロイド・ライト(1867〜1959年)によって設計された8つの建造物が世界遺産に登録されています。これらは彼が提唱した、自然と調和を図る「有機的建築」が見られ、彼の得意とする「プレイーリースタイル(草原様式)」を特徴とするもの。鉄骨やコンクリートなど前例のない素材が使われたライトの作品はヨーロッパの近代建築の発展に影響を与えました。 ここではフランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群について詳しくなること間違なし! トンブクトゥ/マリ


画像素材:shutterstockトンブクトゥは、マリ中部に位置し、ニジェール川の中流域に砂漠の民トゥアレグ族が築いた都市。サハラ砂漠の入口にあり、金の交易で栄えた都市でした。もともとはトゥアレグ族の野営地だった場所に町が築かれたのは12世紀。
やがて金の交易で栄え、町にはモスクやマドラサ(神学校)が並ぶイスラム文化都市へと発展しました。現在でも「黄金の都」として栄えた当時の町並みが残っています。
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あわせて読みたい マリの世界遺産「トンブクトゥ」とは?世界史でおなじみの都市を世界遺産マニアが解説 サハラ砂漠南部にあるトンブクトゥは、遊牧民トゥアレグ族によって築かれた交易拠点が起源。やがて金の交易で栄え、町にはモスクやマドラサ(神学校)が並ぶイスラム文化都市へと発展しました。現在でも「黄金の都」として栄えた頃の町並みが残っています。 ここでは、トンブクトゥがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、トンブクトゥについて詳しくなること間違なし! 世界遺産マニアの結論と感想
ユニークな遺産はたくさんありますが、モダニズム建築だけでなく、その土地の事情や政治によって無理やりユニークな建造物になってしまったというのも理由。他にも面白い世界遺産はまだまだいっぱいあるので、ぜひ世界遺産リストからあなたのお気に入りを見つけてみてくださいね!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。