登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 1999年 |
アフリカ沖に浮かぶカナリア諸島の一つ、テネリフェ島の最大都市サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナは、スペインの植民都市のモデルであり、要塞を持たない最初の都市でもありました。ここは16〜18世紀に建造された教会や大学など、多くの建造物が残っています。
ここではサン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナについて詳しくなること間違いなし!
サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナとは?
カナリア諸島でも最も人口が多いテネリフェ島。この島の北部にあるサン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナは、15世紀後半にスペイン人によって建造された都市。ここは標高550mの高原で、もともとは現在の山の手地区に旧市街が建造され、さらに1kmほど東の下町地区は広々とした区画に聖堂や病院などを配置したという、スペインの都市としては要塞を持たない最初の都市であり、後の新大陸の植民都市のモデルともなりました。
これらの都市計画は、1502年にレオナルド・ダ・ヴィンチの構想したイタリアのイモラの都市計画を当時の長官が採用したため、広い街区が碁盤の目のように配され、小さな通りが築かれていきました。旧市街と新市街をあわせて、16〜18世紀の建造物が並び、それらはムデハル様式(イスラム建築を取り入れたイベリア半島の建築様式)から新古典主義、モダニズム、現代建築まで多種多様。その中でも1511年建造のコンセプシオン教会は保存状態が良く、1819年建造のヌエストラ・セニョーラ・デ・ロス・レメディオス大聖堂は新古典主義様式のもの。
サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナは、ヨーロッパ諸国に加え、スペイン・ポルトガル、さらに新大陸のアメリカの文化間の交流の影響が見られ、人種や文化、社会などの繋がりが維持され、ここはスペインの植民都市のモデルであり、都市計画と広場だけでなく、教会や公共の建築物などにもその影響が見られるという点。
登録基準(iv)
サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナは、要塞化されていないスペインの最初の植民都市であり、都市計画から新しい社会構造が見られ、スペイン文化の新大陸への伝道が見られる最初の通過点で、旧市街は当時のまま残っているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
カナリア諸島にあるサン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナは、今でも最大の人口を抱える都市ですが、ここはスペインによる新大陸への中継地のような場所で、旧大陸と新大陸の文化や社会などが入り混じり、その後の植民都市のモデルとなったという点で評価されています。
ちなみに、最も多くの人口を誇るサン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナは州都と思われがちですが、カナリア諸島州の州都はかつては町の一部であった「サンタ・クルス・デ・テネリフェ」で、19世紀にここから独立するとカナリア州の州都となり、今でも行政機関が多くあります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。