登録区分 | 複合遺産 |
登録基準 | (3), (6), (8), (9), (10) |
登録年 | 2010年 |
パパハナウモクアケアはハワイ諸島から北西へ約250kmの距離に位置し、合計で約1931kmにも及ぶ広大な範囲の中に小さな島々や環礁などが点在するエリアが世界遺産に登録。この地はハワイの先住民が古来より生命の起源と信じされていて、魂が帰る場所とされてきました。二ホア島とネッカー島(マクアナマナ島)には人々の定住の跡地があり、他にもサンゴ礁やラグーンなどが点在し、ここは世界最大の保護区の一つでもあります。
ここではパパハナウモクアケアがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、パパハナウモクアケアについて詳しくなること間違いなし!
パパハナウモクアケアとは?
ハワイ州の北西ハワイ諸島は、約1931kmにも渡って広がる小島と環礁が多く並ぶエリアで、世界遺産としては「パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント」とほぼ同じ範囲が登録されています。パパハナウモクアケアとは、かつてハワイの先住民は大地の神「パパハーナウモク」と天空の神「ワーケア」が合わさることで、ハワイ諸島が生まれたという宇宙観を持っていて、彼らもここで誕生したということから命名されたもの。そして、死後には魂が戻る地とされていて、自然と人間の共生を示す、古来より受け継いできた場所でもあります。
東側に位置する二ホア島とネッカー島は、ヨーロッパ人が入植する前に人が定住していたことを示す考古遺跡があり、ヘイアウと呼ばれる聖域跡なども残っています。一帯は世界最大の海洋保護区の一つで、海山やサンゴ礁、ラグーン、岩場などの環境があり、陸生生物や海生生物の絶滅危惧種も多く生息していて、固有種も見られるというほど。
パパハナウモクアケアはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
パパハナウモクアケアが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
二ホア島とネッカー島には、ヘイアウの聖域などが残り、これは今でもハワイで生きている伝統と繋がっていて、さらには3000年前、はるか南方のポリネシアに存在したマラエと呼ばれる聖域の文化の一部が見られる、タヒチのマルキーズ諸島などとの文化的結び付きが見られるという点。
登録基準(vi)
パパハナウモクアケアの信仰は、太平洋の社会と文化の発展した例であり、マラエが主要な役割を与えられ、ここは豊かな自然の中で生と死にまつわる聖地となっていて、ハワイ人の先住民の生きた伝統が二ホア島とネッカー島だけでなく、無人島などに関連付けられているということ。
登録基準(viii)
この地は静かなホットスポットと安定した構造のプレートの動きによって形成された島のホットスポットの進化を示していて、世界最長かつ最古の火山地帯を構成するパパハナウモクアケアにおける地質学的進行の規模とその明確さは他よりも顕著で、プレートテクトニクス(プレートが運動することで発生する現象)とホットスポットについてよく分かるもの。地質学的価値は、世界遺産に登録されている「ハワイ火山国立公園」と関連していて、火山活動における重要な証拠を示しているという点。
登録基準(ix)
海域は、海面下4600〜275mまで、深海や海山、サンゴ礁、ラグーン、砂丘など、島と環礁の間には独特で多様な生息地が見られ、多くの生態系や単一の祖先種からの種分化、陸や海の固有種など、生物地理学進化が見られるもの。ここは約7000種もの海洋生物種の4分の1が固有種で、魚類の5分の1以上、サンゴは40%以上が固有種でもあります。そして、サメなどが捕食者として頂点に立つサンゴ礁の生態系が残されているということ。
登録基準(x)
パパハナウモクアケアの陸上・海生の生息地には絶滅危惧種が見られ、ハワイモンクアザラシやレイサンマガモなどの固有の鳥類が4種も見られ、ウミガメやクジラなどが生息。毎年550万羽の海鳥が訪れる営巣地となっていて、コアホウドリの99%とクロアシアホウドリの98%を含めて1400万羽がここで暮らすというほどの生物多様性が見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
パパハナウモクアケアは、現在は人が住んでいないものの、ハワイの先住民の信仰の対象であり、ポリネシアとの文化的な結びつきのある聖域として崇められてきました。周囲の海域はプレートテクトニクスやホットスポットなどの火山活動がよく分かり、島や環礁は人の手が入っていない生息地が広がり、絶滅危惧種や固有種が多く見られるという点で評価されています。
ちなみに、ハワイでよく見られるアオウミガメは「ホヌ」と呼ばれる絶滅危惧種で、砂浜などは産卵地として有名ですね。アオウミガメが青いのは海藻類を主食しているため、色素が脂肪にまで行き渡って青になるのです。逆にアカウミガメはカニなどを多く食べるために脂肪が赤くなるという傾向があって、ウミガメは割と亜種によって食べ物の好みが違うという不思議な生き物。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。