登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7),(9),(10) |
登録年 | 1990年(2023年拡大) |
ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は、「アンドレファナの乾燥林群」の構成資産の一つ。ここは石灰岩のカルスト地形が雨によって削られ、ナイフのような岩が並び、溶食によって亀裂のように削られた台地が見られ、レムールと呼ばれるキツネザルの仲間アイアイ、ベローシファカなど、貴重な動物が多く生息。ところで、ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区はなぜ世界遺産候補なのでしょうか?
ここではツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区について詳しくなること間違いなし!
ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区とは?
マダガスカル西部マジュンガ州に位置するツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は、約1520平方kmもの広大な地域が登録されています。「ツィンギー」とは「先の尖った」というような意味で、ナイフのような100mほどの高さを持つ岩が森のように並ぶのが特徴。ここは石灰岩のカルスト台地が広がっていて、長年の雨によって岩が尖塔のように溶け、岩が真っ二つに引き裂かれたような巨大な亀裂が見られます。
保護区内は、雨が降っても岩で吸収してしまうということもあり、乾燥に強い植物が多く自生するようになり、それらは地下に根を張ることで水を汲み上げ、原生林やマングローブ林の沼地などを造り出します。このような環境によって、世界でも珍しい動物たちが暮らすようになり、現地では「レムール(精霊)」呼ばれるキツネザルやカメレオンなどの爬虫類が多く生息するように。
特に絶滅危惧種に登録されているアイアイは、キツネザル科に属していて「悪魔の使い」として島民には呼ばれ、非常に数が減っていて、ここは数少ない保護区でもあります。横にジャンプするという「シファカ飛び」をするベローシファカは、テレビのCMなどでおなじみですが、これも絶滅危惧種。
キツネザルの仲間は、かつてはマダガスカルが森林で覆われていた時代には各地に見られましたが、人類が2000年ほど前にこの島に住むようになると、開発が進み、徐々にツィンギ・デ・ベマラへと追いやられてきたという経緯があります。
ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は、雨によって石灰岩の台地が切り裂かれ、尖塔のような岩が森のように並ぶという大地の侵食の歴史が見られ、岩の森の周りに原生林が囲むという壮大な景観が見られるという点。
登録基準(ix)
過去数百万年の気候変動は、マダガスカルの景観と動植物の進化に大きな影響を与え、アンドレファナの乾燥林は乾季には縮小し、雨季には拡大し、その変動は水によって削られた地形の起伏が見られます。乾燥林は登録エリアのほとんどに存在し、乾季に動植物が孤立して進化することを可能にしていて、多くの固有種を生み出したということ。
登録基準(x)
登録エリアの乾燥林では、マダガスカルの固有種の80%が生息していて、バオバブやデロニクス科の植物、哺乳類や鳥類、爬虫類などが生息します。ここにはマダガスカル固有種で絶滅危惧種のペリエシファカ、マングースキツネザル、ニシケナガキツネザル、マダガスカルウミワシなどが暮らし、約1000種類の植物、156種の爬虫類、57種の哺乳類、34種の両生類が見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
マダガスカル島はかつては原生林で多く囲まれていたのですが、人間の開発によって、島に生息していた固有種でもあるキツネザルなどの動物たちはどんどんと追いやられ、最終的に岩だらけの厳しい環境であるツィンギ・デ・ベマラに生息するようになりました。ここは島でも貴重な絶滅危惧種の保護区となっていることから評価されています。
ちなみに、1962年に発表された童謡『アイアイ』によって、日本人にとってアイアイは非常にメジャーな動物になりました。しかし、歌詞の中にあるアイアイの特徴はすべてをカバーしておらず、中指が長いとか、不気味な面はあまり語られいないので、本物を見たら割と不気味に感じるという…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。