スコットランドというと、古城とウイスキー、そして、ネッシーのイメージがあると思うが、なんといっても常に物議を醸す名物グルメ「ハギス」で有名である。これは羊の内蔵をスパイスやハーブで混ぜたものを胃袋で包んだ詰め物。しかし、現地の人には馴染みの深い味なのだが…旅行者からは「まずい」と言われたり、国際問題!?に発展したりと話題の尽きない食べ物でもある。
今回は、スコットランドの世界遺産エディンバラの旧市街と新市街・の帰りに味わったグルメ「ハギス」を紹介。世界遺産巡りのついでに味わってほしい「世界遺産級の激ウマ・グルメ」を解説していこう。
スコットランドの世界遺産「エディンバラの旧市街と新市街」は“あの”魔法使いの世界っぽい?
スコットランドの首都であるエディンバラは、『ハリー・ポッター』の作者であるJ.K.ローリングが物語を執筆した場所だけあって、旧市街は魔法使いが住んでいるかのような中世の世界が広がっている。…とはいえ、旧市街に並ぶのはほとんどが16〜17世紀の邸宅。
エディンバラ城なんてのは、まさにホグワーツ魔法魔術学校のような雰囲気があるが、ここはスコットランド王家の居城であった場所。しかし、これは16世紀にほとんどが再建されたものだが、ベースが中世のものなので、イギリスの中でも抜群にホグワーツ感があるんですなぁ。
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ロイヤルマイルで食べたいハギスは本当に「まずい」のか!?その味わいはいかに?
城のある小高い丘からロイヤルマイル(王宮通り)を下った先にあるホリールードハウス宮殿までが旧市街の中心なのだが、ここにはスコットランドの首都らしく、古き良きパブが多く並ぶ。もちろん、パブは酒場なのでメインはお酒なのだが、酒の肴として最も有名なのが「ハギス」。といっても、ハギスは朝食からディナーまで、スコットランド人はフルで食べるのだが、旅行者が一番食べる機会が多いのがパブだろう。
これは羊の内蔵(心臓、肝臓、肺、腎臓など)を茹でた後、ひき肉にして、オートミール、脂、たまねぎ、ハーブ、スパイスなどを混ぜて、塩と胡椒、ウイスキーで味付けし、最終的には羊の胃袋に詰め物としてこれらを入れる。…なんだかでっかいソーセージのようだ。
どうやって食べるかというと、茹でたハギスを中身のミンチだけをお皿にのせて、じゃがいもとカブのマッシュポテトと一緒に食べることが多い。…見た目はある意味、エグいが、ひき肉といえば、ひき肉だしなぁ。とりあえず、食べてみるが…うむむむ、羊のクセがすごいんじゃ!野性味溢れる味で脂も強く、肉の臭みに弱い日本人には「食事」として食べるのは厳しいという人もいるかもしれない。まぁ、クセがあるので「まずい」と烙印を押されるのは仕方ないところか。
…が、現地風にウイスキーをかけて食べると、急激に旨味が増す!なるほど、これはこれはスコットランドならではのアイデアだな。ウイスキーありきの食べ物である。しかし、あくまでも肉のミンチなので、ハンバーグのように食べることもできるし、最近では「ハギス・ピザ」なんてあるように、お酒が苦手な人でも調理法によっては美味しい食べ方だってあったりする。意外にも万能だぞ…ハギス。
…これは「世界遺産級」の味わいだ!
「ハギス」は国際問題に発展してしまったお騒がせ料理?
結構好き嫌いが分かれるのがハギスという食べ物であり、これは日本人だけでなく、イギリス以外の方もそう思っていることも多く、かつてシラク元大統領が「ひどい料理」なんて批判したり、アメリカのジョージ・W・ブッシュ元大統領はジョークにしたりと、スコットランドの方からするとディスられまくりの料理だ。
しかし、スコットランドのハギスの公式記録は18世紀の本が最古であり、近年では17世紀にすでに「イングランドの定番料理」と紹介された文献が発見されることもあってか、そのルーツもスコットランドかどうかも危うい…ということもある。とはいえ、スコットランド人が愛してやまない、その味わいを「まずい」と言われるから「食べない」なんてもったいない!
世界遺産のついでに世界遺産級のグルメも同時に楽しんでみてはいかが?
※こちらの内容は、あくまでも過去に現地を訪れた際に体験したものであり、最新情報はご自身でご確認ください。