登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3),(4) |
登録年 | 1993年 |
スペイン南西部に位置するメリダは、かつてローマ帝国の植民都市「アウグスタ・エメリタ」と呼ばれる都市でした。ここは1世紀にローマ帝国初代皇帝アウグストゥスが設立した都市で、今でもローマ橋や円形劇場、神殿、水道橋などが残り、帝政ローマの州都のかつて姿を現在に残しています。
ここではメリダの考古遺産群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、メリダについて詳しくなること間違いなし!
メリダの考古遺産群とは?
スペインの西部に位置するエストレマドゥーラ州の州都であるメリダ。ここはかつて「アウグスタ・エメリタ」と呼ばれ、紀元前25年に初代ローマ皇帝アウグスティヌスが当時のスペインを征服し、ここはローマ帝国の最西端の属州ルシタニア(現在のポルトガルとスペイン西部)の州都として設立しました。
彼はここをローマ帝国の理想都市としたこともあり、その後もこの地は州都としてローマ化が進み、重要都市でありました。後の五賢帝のトラヤヌスやハドリアヌスがここを出身だったということもあり、メリダは大いに繁栄。その後、4世紀になると司教聖堂が建設され、キリスト教の布教の場となり、西ゴート王国やレコンキスタの時代を含めて中世までここは重要都市として機能しました。
現代のメリダはかつてのアウグスタ・エメリタの上に建設されたものですが、考古学遺跡の保存状態はよく、22ヶ所の遺構で構成されています。グアディアナ川にかかるローマ橋、1万5000人もの観客が収容できる円形劇場、ローマ最大の戦車競技場、ディアナ神殿、トラヤヌス帝の凱旋門などが残存。
街の北部に位置するプロセルピナ貯水池は、現在も残るロス・ミラゴロス水道橋を経由して、市民のための飲料水や農業用水を供給していました。他にも後の時代に建造された、西ゴート王国時代の城壁、キリスト教時代のバシリカと要塞、イスラム時代の貯水池なども残っています。市内の遺跡はローマ時代から2000年に渡るヨーロッパの都市の発展を示すものとして評価。
メリダの考古遺産群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
メリダが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
メリダの考古学遺産群は、ローマ帝国の都市設計に従って造られ、州都としての役割を持った建築物が残るという点。
登録基準(iv)
メリダの考古学遺産群は、ローマ帝国最盛期とその後の時代を含めて、属州の州都の公共建築物の傑作が多く残るということ。
世界遺産マニアの結論と感想
メリダにはかつてのローマ帝国の都市設計がそのまま見られる都市。この地に残る考古学遺跡は、ローマ帝国最盛期の建造物を含め、キリスト教やイスラム教時代の遺構まで、さまざまな建築物が残っているという点で評価されていす。
ちなみに、エストレマドゥーラ州は、新大陸のコンキスタドール(征服者)であったコルテスやピサロの出身地が多く、メキシコやベネズエラには、出身地にちなんだ「メリダ」という名を付けた都市が多く建造されました。今でもメリダと呼ばれる都市が残っています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。