登録区分 | 自然遺産(危機遺産1993〜2007年、2010年〜) |
登録基準 | (8),(9),(10) |
登録年 | 1979年 |
フロリダの南端にあるエバーグレーズ国立公園は全米最大の湿地地帯に位置し、湿原全体の5分の1が公園として管理されています。ここは多様な生態系を育んできた湿原であり、絶滅危惧種のフロリダマナティーなど、多数の鳥類や爬虫類が生息。しかし、周囲の開発による水質汚染が進み、危機遺産に登録されています。
ここでは、エバーグレーズ国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エバーグレーズ国立公園について詳しくなること間違いなし!
エバーグレーズ国立公園とは?
アメリカ南東部・フロリダ半島の南端には、エバーグレーズと呼ばれる湿原地帯があります。その中でも湿原全体の5分の1、総面積でいうと約6000平方kmもの広大なエリアが世界遺産として登録。ここはフロリダ半島の内陸部にあるオキチョービー湖から流れ出た水が南のフロリダ湾に向かって1日に数cmから数mほどゆっくりと水が流れて形成された地形。
湿原は海水と淡水が入り混じり、温帯と熱帯の境目のため、さまざざまな動植物が見られるのがポイント。固有種を含む1000種以上の植物に、700種以上の動物が見られます。特にアメリカアリゲーターやピューマ、絶滅危惧種のアメリカワニなど、豊かな生態系が特徴。
湿原上流
公園の上流には「ハンモック」と呼ばれる島々が点在しています。ここはマホガニーやシダといった木々が生えた小高い島で、鳥や哺乳類なども住んでいて独特の生態系が見れるもの。
湿原下流
フロリダ湾に面していて、このあたりになると湖から流れ出る淡水と海水が混じり合うエリア。ここにはマングローブの森が広がっていて、カニや小魚が多く生息。それを狙ってアメリカワニが生息しています。そして、海域には絶滅危惧種のフロリダマナティーが見られることも。
危機遺産(危機にさらされている世界遺産)
エバーグレーズ国立公園は1947年に国立公園として認定されるものの、フロリダの開発のため、湿原内の魚類は約80%、鳥類は約90%も絶滅してしまいました。そして、1930年から現在までマイアミなどの生活用水が湿原内に流れ出るため、水質汚染が進んでいます。
1993年にハリケーン被害などの理由で危機遺産に登録。漁業を禁止したり、水質汚染などを防ぐプロジェクトなどを企画したりして、2007年には危機遺産リストから外れました。しかし、再び水生生物の生態系が悪化し、2010年から現在までずっと危機遺産に登録されたままとなっています。
エバーグレーズ国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エバーグレーズ国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(viii)
エバーグレーズは氷河期の終わりに水没したエリアで、石灰岩の上に炭酸塩堆積の地形が見られるという点。
登録基準(ix)
湿地、ハンモック、マングローブ林など、さまざまな地形に独特で複雑な生態系が見られ、藻類から爬虫類、哺乳類など、植物連鎖も見られるということ。
登録基準(x)
ここは400種を超える鳥類や爬虫類の生息地で、アメリカワニやフロリダマナティーなど、希少種や絶滅危惧種が生息するという点。
世界遺産マニアの結論と感想
エバーグレーズは、氷河期に海に沈んでいた石灰岩の地形で、ここには、オキチョービー湖から流れ出た淡水が海水と交じることで、湿地やハンモック、マングローブ林などさまざまな景観が見られるというのがポイントです。そこには独特の鳥類や爬虫類などが見られ、絶滅危惧種であるアメリカワニやフロリダマナティーまで生息する貴重なエリアであるということで評価。
ちなみに、ここに住むアメリカアリゲーターは意外と長生きで50年も生きるという長寿の爬虫類。なんと、ロシアのモスクワ動物園では、84歳で死亡したアメリカアリゲーターもいて、野生でなければ人間並に生きることができるらしいです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。