登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7),(8) |
登録年 | 1984年 |
カナダの西部・ロッキー山脈にある4つの国立公園と3つの州立公園で構成される広大なエリアで、美しい氷河湖や滝、渓谷など絶景が多く見られます。そして、ここで発見されたバージェス頁岩という地層にはカンブリア紀の古代生物の化石も多く発見され、生物史において大変貴重なもの。
ここでは、カナディアン・ロッキー山脈自然公園群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、カナディアン・ロッキーについて詳しくなること間違いなし!
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群とは?バージェス頁岩とはどんなもの?
カナダ西部のアルバータ州とブリティッシュコロンビア州にまたがる広大な7つの公園から構成されるもので、北アメリカ西部を南北に貫くロッキー山脈のうちカナダ部分にある2万3000平方kmが登録されています。
ロッキー山脈は、カンブリア紀(約5億4200万年前〜約4億8830万年前)から白亜紀(約1億4500万年前〜6600万年前)のさまざまな岩石で構成され、約6000年前に形成されたもの。そして、氷河によって多くの岩山が削られ、独特の景観が形成されました。
ネイティブ・アメリカンがもともと住んでいた土地でしたが、19世紀末になるとヨーロッパ人によって知られるようになり、1887年にカナダ初の国立公園であるバンフ国立公園が設立。その後、20世紀前半まで、ジャスパー国立公園、クートニー国立公園、ヨーホー国立公園、ハンバー州立公園、アシニボイン山州立公園、ロブソン山州立公園と、4つの国立公園と3つの州立公園が誕生。
1909年にカンブリア紀の地層が残るバージェス頁岩が発見されると、1980年には「バージェス頁岩」として世界遺産に登録。そして、バージェス頁岩は1984年に登録された「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」の中に吸収されました。
登録されている主な構成資産
バンフ国立公園
アルバータ州南部にあるカナダで最初に設立された国立公園。ここはカナディアン・ロッキーのゲートであるバンフを中心としていて、公園の総面積は6641平方km。
標高1884mには氷河湖・モレーン湖があることで有名で、ここは「カナディアン・ロッキーの宝石」と称されるほど。ヨーロッパの城に似ていることから名付けられた、標高2766mのキャッスル・マウンテンなど、美しい風景が広がっています。
ジャスパー国立公園
バンフ国立公園の北側に位置していて、総面積は約1万平方kmでカナディアン・ロッキー最大の国立公園。園内には岩山や針葉樹の森が広がっていて、岩山の歩行を得意とするシロイワヤギなども見られます。
バージェス頁岩
ブリティッシュコロンビア州のヨーホー国立公園にある標高2599mのバージェス山で発見された地層のこと。これは1909年に古生物学者チャールズ・ウォルコットによって発見されたもので、ここからは約5億3000万年前のカンブリア中期の化石が多く見つかりました。
頁岩とは、泥が固まった堆積岩で、粒子が細かく酸素が通しやすいという特性があったため、生物が綺麗に化石化しています。ここで発見されたもので有名なのは遊泳性の捕食動物であったアノマロカリス。これは「プロブレマティカ(未詳化石)」として従来の動物にカテゴリー分けできないということもありましたが、現在はラディオドンタ類に属します。
他にも5つの目を持つオパビニアといった生物の化石も発見し、カンブリア紀に発生した、生物の爆発的な多様化が発生した証拠となり、現代でも研究が続けられています。
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
カナディアン・ロッキーが評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
カナディアン・ロッキーにある7つの公園は、絶壁や氷河、湖、滝、洞窟、温泉などの絶景が広がり、多くの訪問者を魅了しているといううこと。
登録基準(viii)
カナディアン・ロッキーには氷河によって削られた地層があり、ここで発見されたバージェス頁岩は、約5億3000万年前のカンブリア大爆発の証拠であり、生物の進化の歴史を辿る上で重要であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
カナディアン・ロッキーは自然の美しさはもちろん評価されていますが、もとは生物の進化を示すバージェス頁岩が発見されたことにより、その価値が認められ、周囲の地形を含めて統合された珍しい遺産でもあります。
ちなみに、アノマロカリスは化石からすると体長は60mほどであったと考えられていますが、触手で獲物を捕らえたという捕食動物であり、当時の地球では最強の生命体であったと考えられています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。