カザフスタンは中央アジアでも最大の国家で、面積は272万5000平方kmと世界でも9番目に広い国です。国土の大部分は砂漠とステップ地帯で占められていて、古くから遊牧民によって支配されたこともあり、過去の繁栄が見られる建築物も点在。国内にはさまざまな遺産がありますが、世界遺産はいくつあるでしょうか?
ここでは、カザフスタンの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟
カザフスタン南部のテュルキスタンはかつてはヤシと呼ばれた都市。ここはホージャ・アフマド・ヤサヴィー(1103〜1166年)というイスラム神秘主義の指導者の廟があり、この地への巡礼は中央アジアでは聖地メッカへの巡礼に次ぐというほどの聖地で毎年数万人が訪れます。
廟は1389〜1405年にかけて中央・西アジアに帝国を築いたティムールによって美しい聖廟へと改築されました。ここはティムール朝時代の最大の建築物であり、最も保存状態の良いものでもあります。
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タンバリの考古的景観の岩絵群
カザフスタン南東部のアルマトイ州にあるチュリ山岳地帯。この地では紀元前14世紀から20世紀初頭まで約5000もの岩絵が描かれていて、そのモチーフからは遊牧民による牧畜や社会、儀式などを示すもの。
ここは集落と埋葬地を備えた48ものエリアに分かれていて、岩絵は動物や人間が描かれている一方、神格化された太陽像なども見られます。
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サリャルカ-北カザフスタンのステップと湖群
カザフスタン北部の都市カラガンダの西方に広がる約4503平方kmの土地が世界遺産に登録。ここは中央アジアにおけるステップ(草原)の中に湿地帯が広がっていて、淡水湖や塩水湖には各地から絶滅危惧種を含む渡り鳥が多く訪れます。特に絶滅危惧種のソデグロヅルやキガシラウミワシ、希少種のハイイロペリカンなどが見られるのが特徴。
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シルクロード:長安-天山回廊の交易路網(中国・カザフスタンと共同)
シルクロードとは、中国の中心から天山回廊を通り中央アジアまで結ぶ交易路の総称です。そのシルクロードの一部である約5000kmが世界遺産に登録されていて、交易路を含む33の構成資産が登録。
カザフスタンで世界遺産に登録されているのは「ジェティ・ス地区」。南東部のアルマトイ州、ジャンブール州には交易拠点の遺跡が残り、ネストリウス派キリスト教やゾロアスター教、マニ教の施設を含んでいて、宗教の伝来の歴史を伝えているもの。
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西天山(ウズベキスタン・カザフスタンと共同)
天山山脈は中国西部からカザフスタン、キルギス、ウズベキスタンまで広がる世界最大の山脈。キルギスでは、南側の南カザフスタン州にある、アクス・ジャバグリ自然保護区やカラタウ国家自然保護区、サイラム=ウガム国立自然公園が登録。
ここは多様な生態系が生息する環境が広がっていて、ブドウやリンゴなど、現在も馴染みのある果物の原種が生育する環境であるというのも特徴。
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寒冬のトゥラン砂漠群(カザフスタン・トルクメニスタンと共同)
トゥラン砂漠とは、カスピ海東部から東側にある中央アジアの砂漠の集合体としていて、北はカザフスタン、東側はウズベキスタン、南はトルクメニスタンの領地に点在しています。カザフスタンで登録されているのは、アルティン=エメルやバルサケルメス自然保護区、カスカクランなどの5箇所。
ここは温帯であるにもかかわらず、極寒の冬を迎える砂漠地帯。厳しい環境の中でも動物や植物が暮らしていて、他の地域では見られない固有種や絶滅危惧種も多く見られるのが特徴です。
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世界遺産マニアの結論と感想
カザフスタン単体の世界遺産としては3件ではありますが、構成資産として数えると合計で6箇所も登録されています。広い国土であるためにステップ地帯や砂漠、山脈などの自然遺産から遊牧民族の繁栄が見られる遺跡まで幅広いジャンルの遺産があるのが魅力です!ぜひディープに楽しんでくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。