現在のパレスチナ国は、ヨルダン川西岸地区とガザ地区から構成されています。2012年から国際連合総会オブザーバーとして承認されているため、現在のヨルダン川西岸地区にある遺産に関しては「パレスチナの世界遺産」として登録。ベツレヘムやヘブロンなどが含まれていますが、世界遺産はいくつあるでしょうか?
ここでは、パレスチナの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
※こちらの記事では「イスラエル」として登録されている世界遺産を除いて紹介しています。イスラエルの世界遺産は別記事で解説しているので、そちらでご確認ください。あと、エルサレムはヨルダンによる申請のため、この記事には含めていません。
イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会(降誕教会)と巡礼路
ベツレヘムはエルサレムから南に10kmほどの距離にある丘陵地帯に位置します。2世紀以降、この地にある洞窟はイエス・キリストが生誕した場所として信仰を集めるようになり、4世紀には洞窟を囲むように教会が建てられました。
現在の聖誕教会は6世紀に建てられたもの。世界遺産に登録されているのは、聖誕教会単体だけではなく、周囲の修道院や教会、巡礼路なども含まれます。
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オリーブとワインの地パレスチナ – エルサレム地方南部バティールの文化的景観
バッティールの丘は、エルサレムの郊外にあり、北のナブルスと南のヘブロンの間に位置する高地でもあります。ここはウィディアンと呼ばれる農場の広がる渓谷が連なっていて、段々畑が広がっているもの。
乾燥した土地にはぶどうとオリーブが植えられていて、これらは地下水源から供給される水路のネットワークによって支えられてきた伝統的なシステムでもあります。
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ヘブロン(アル=ハリール)旧市街
ヘブロンは、アラビア語では「アル=ハリール」と呼ばれ、エルサレムから南へ約30kmに位置する町。パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区南端にあり、ここはユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地となっています。市内には3つの宗教の始祖であるアブラハムの墓があるということで、巡礼者が絶えません。
市街地は13〜16世紀に築かれ、非常に長い歴史を持つものの、2017年の登録の際は緊急で登録されたため、イスラエルとアメリカが反発。
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古代エリコ(イェリコ)/テル・アッスルターン
ヨルダン川西岸地区でもヨルダン川の河口から約15kmの距離に位置する低地にあるのがエリコの町。ここは海抜マイナス258mにあり、世界で最も標高の低い町としても有名です。
エリコには紀元前1万年前から人類が暮らしていたということを示す集落遺跡「テル・アッスルターン」があり、世界最古の都市があったとされる場所。そして、遺構からは人類の文化のルーツをたどることができるというのが特徴です。
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聖ヒラリオン修道院/テル・ウンム・アメル/パレスチナ
テル・ウンム・アメルは、ガザ地区最大の都市・ガザ市から南に広がる砂丘地帯の遺跡が並ぶエリアです。その中には修道院の遺構があり、これはもともと修道院というシステムのルーツを築いた大アントニオス(251〜356年)の弟子であるヒラリオンによって340年頃に築かれた「聖ヒラリオン修道院」が存在していた場所。
その後、ビザンツ時代まで繁栄しましたが、7世紀以降は遺構となってしまい、2023年からは戦争に巻き込まれたため、緊急措置として危機遺産に指定されています。
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世界遺産マニアの結論と感想
エルサレムやイスラエルを含めない「パレスチナの世界遺産」としては、5件登録されています。どれも文化遺産となっていて、古くから人々が暮らしていたことから世界最古の都市遺跡がある一方、ここは多くの民族が暮らした地であり、キリスト教やイスラム教、ユダヤ教の聖地など、それぞれの宗教にまつわる遺産もあるのも特徴です。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。