スイスといえば、『アルプスの少女ハイジ』のようなアルプス山脈のイメージですね!もちろん、アルプス最高峰のユングフラウは誰もが知る有名な観光地ですが、中性の町並みが残るベルンなど文化遺産も多いんですよ。そんなスイスは世界遺産がいくつあるでしょうか?
ここでは、スイスの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
ザンクト・ガレン修道院
スイス北東部のザンクト・ガレン州の州都サンクト・ガレン。この地は、7世紀にアイルランド出身の聖ガルスが住んでおり、8世紀に修道院が建造されると、ガルスの名前にちなんでサンクト・ガレンと名付けられました。
修道院は18世紀にバロック様式で再建され、大聖堂そのものも美しいことで有名ですが、特に8〜19世紀までの書物や写本を多く保管する図書館は華麗なロココ様式で再建されたもの。
詳細はこちら↓
ミュスタイアのベネディクト会ザンクト・ヨハン修道院
ミュスタイアは、スイス南東部のグラウビュンデン州にあり、イタリアとの国境のすぐそばに位置する集落。
ここには8世紀のカロリング朝時代に建造されたベネディクト会の修道院があり、ここは2つの側廊と石造りの尖塔型の穹窿(きゅうりゅう)を持つ後期ゴシック様式の傑作。内部のフレスコ画はスイスでも最大規模のものとなっています。
詳細はこちら↓
ベルン旧市街
スイスの中央部からやや西にあるのが、スイス連邦の首都であるベルン。人口は約14万人と国内でも4番目の規模の街ではありますが、ここにはスイス連邦議会議事堂があり、首都機能を持つ都市でもあります。
ここはアーレ川に囲まれた丘の上に12世紀に建造された都市で、何世紀にも渡って発展してきました。石造りのアーケードと100以上もある噴水が残り、中世の町並みが今でもよく保存されています。
詳細はこちら↓
ベッリンツォーナ旧市街の3つの城と防壁・城壁群
イタリアとの国境に近いティチーノ州にあるベッリンツォーナは、アルプス山脈の南側に位置し、かつてはイタリアと西ヨーロッパを結ぶ交通の要衝でした。そのため、ここはローマ時代からすでに要塞が存在。
街の中心にあるカステル・グランデから「ムラータ」と呼ばれる防壁に結ばれた、14世紀建造のモンテ・ベッロ城、15世紀建造のサッソ・コルバロ城と合わせて世界遺産に登録。
詳細はこちら↓
スイス・アルプスのユングフラウとアレッチ
スイスのアルプス山脈にあるユングフラウは「若き乙女」という名の標高4518mの名峰です。登録範囲は、全長約23kmにも及ぶアレッチ氷河とその周辺。北側にはユングフラウ、メンヒ(標高4107m)、アイガー(標高3970m)の名峰が並び、南側はマッサ川の峡谷の手前まで登録されています。
ユングフラウの展望台からは氷河によって削られて形成された独特の地形を眺めることができます。この絶景は芸術や文学のテーマとしてヨーロッパ文化に重要な役割を果たしてきました。
詳細はこちら↓
サン・ジョルジョ山(スイスと共同)/2010年登録
ルガーノ湖はイタリアとスイスの国境に位置する面積48.7平方kmもの湖。その南にはピラミッドのような形をした緑豊かなサン・ジョルジョ山(標高1097m)がそびえます。
ここは、中生代三畳紀(2億4500万〜2億3000年前)の地層からさまざまな生物の化石が発見され、体長1mものパキプレウロサウルスや、身体が3分の2以上が首だったとされる珍しい魚竜タニストロフェウスといった希少な化石も発掘されています。
詳細はこちら↓
ラヴォー地区のブドウ畑
スイス南西部にあるレマン湖の南側に位置するのがラヴォー。ここはローマ時代にブドウの木が存在したと考えられますが、現在のブドウ畑が本格的に作られたのは11世紀から。テラス状に広がるブドウ畑には、ブドウ農家が住む小さな村々が点在し、ワイン作りの伝統が今でも残ることから文化的景観として登録されています。
詳細はこちら↓
カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林(他ヨーロッパ17ヶ国と共同)
ヨーロッパブナは、北はスウェーデン南部から南は地中海岸、西はポルトガル、東はトルコまで広がっていて、氷河期後期には、ヨーロッパの約40%はヨーロッパブナ(ファグス・シルヴァティカ)の林が広がっていました。登録エリア各地にはブナの原生林が広がっていて、ヨーロッパブナの原生林としては世界最大の規模を誇ります。
スイスとしての登録範囲は、西部のベットラッハシュトックの森とロダーノ、ブサイ、ソラディーノ渓谷森林保護区の2箇所が含まれています。
詳細はこちら↓
レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観(スイスと共同)
アルブラ線・ベルニナ線は、スイス南西部のグラウビュンデン州からイタリア北西部のロンバルディア州ソンドリオ県を結ぶ路線。ここはアルプスの高地を越えるために当時としては最高レベルの技術によって建造され、20世紀初頭に開業したアルプス越えの鉄道が今でも現役で使用されています。
これらは古くからの課題だったアルプス越えを実現したもので、卓越した土木技術の結晶でもありました。スイスで登録されているのはアルブラ線すべてとベルニナ線の一部。
詳細はこちら↓
スイスの活発な地殻変動地域サルドナ
スイスの東部には標高3000mを越える7つの山々が並び、グラールス州、ザンクト・ガレン州、グラウビュンデン州の3つの州をまたがって3万2850平方kmの敷地が登録されています。ここは大陸のプレート同士が衝突し、造山活動が盛んで、古くて深い岩石が新しくて浅い岩石に運ばれるという「逆断層(衝上断層)」が見られる場所。
ここは地層が観察しやすいことから造山運動の研究において大きな役割を果たしてきました。
詳細はこちら↓
ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画
ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックルは、スイス北西部のヌーシャテル州に位置する都市。ここはジュラ山脈の麓にあり、農業に向いていない土地だったため、17世紀から時計製造を中心とした独自の都市として発展していきました。
現在残るのは19世紀に計画された都市で、手工業から工場生産へと移行した時期を示すもの。『資本論』の作者カール・マルクスはこの町を「巨大な工業都市」として分業を分析したことでも有名。モダニズム建築家であるル・コルビュジエはラ・ショー=ド=フォンで学んだことでも知られます。
詳細はこちら↓
アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群(イタリア・ドイツ・フランス・オーストリア・スロベニアと共同)
ヨーロッパのアルプス山脈周辺の6ヶ国には、紀元前5000〜500年の先史時代に湖や河川、湿地帯に杭上住居跡が111箇所も残り、これらは水没していたために保存状態が非常に良好。新石器時代から青銅器時代の人々の生活が見られる遺跡となっています。
スイスは登録されている国の中でも最も多く登録されていて、国内各地に56箇所も遺跡が点在しています。
詳細はこちら↓
ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献(他6ヶ国と共同)
ル・コルビュジエ(1887〜1965年)は、近代建築の三大巨匠の一人として有名。数多くある作品の中でも7ヶ国17の建築物が登録されていて、これはそれまでのヨーロッパの建築とは異なり、彼自身が半世紀以上かけて磨いていった新しい概念が導入されたもの。
登録されているのは、スイス南西のレマン湖の近くにあり、ここは彼の両親のために1923〜1924年にかけて建造された「レマン湖畔の小さな家」。もう一つは、ジュネーヴに建造された集合住宅「イムーブル・クラルテ」。ここは1930〜1932年に建設され、彼が最初に設計した集合住宅でした。
詳細はこちら↓
世界遺産マニアの結論と感想
スイスだけで登録されているのは8件ではありますが、共同で登録されている遺産を含めると、文化遺産が9件、自然遺産が4件と合計で13件。アルプス山脈のイメージだけに自然遺産が多いと思いきや、旧市街や修道院、鉄道路線まで文化遺産が多いというのもスイスの魅力でもあります!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。