登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1) |
登録年 | 1983年 |
インド北部のアーグラにあるタージ・マハルは、1631年から1648年にかけて、ムガル帝国の皇帝シャー・ジャハーンによって建造された霊廟。これは彼の愛妃であるムムターズ・マハルのために造られた大理石の建造物で、インド・イスラム建築の傑作です。世界でも有名な霊廟の一つでもありますね。
ここでは、タージ・マハルがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、タージ・マハルについて詳しくなること間違いなし!
タージ・マハルはどこにある?
インド北部、ウッタル・プラデーシュ州にあるアーグラは、インド一帯を支配下に置いたムガル帝国(1526〜1539年 、1555〜1858年)でも一時的に首都となったことがある街。タージ・マハルは、ガンジス川の支流であるヤムナ川沿いに位置しており、敷地は南北560m、東西303mと長方形となっています。
ここはムガル帝国の武将ジャイ・シング(1611〜1667年)が保有する庭園があり、庭園の中に霊廟が入れるという帝国の伝統があったため選ばれました。他にも河川が曲がる場所であることから地盤が強く、川面にシンメトリーの建造物が写るという期待もあったそう。
タージ・マハルの歴史は?いつ建てられた?
タージ・マハルは、第5代皇帝シャー・ジャハーン(1592〜1666年)の妻ムムターズ・マハルのための霊廟でした。近隣の中央アジアやイラン諸国などからさまざまな職人が集められ、1632年に着工し、1653年に竣工。敷地は17万平方mの広さを誇り、白亜の霊廟のほか、モスク、壮麗な南門、四分庭園(チャハル・バーグ)などが点在します。設計者はペルシア人建築家であった、ウスタード・アフマド・ラーホーリーであるという説が有力ですが、諸説あります。
しかし、シャー・ジャハーンは息子のアウラングゼーブ(1618〜1707年)によってアーグラ城塞に幽閉となり、彼はそこからタージ・マハルを毎日眺めていました。そのまま1666年に亡くなり、彼の遺体はムムターズ・マハルの隣に埋められたのです。
タージ・マハルの高さは?内部はどのようになっている?
メインの建造物であるムムターズ・マハルの霊廟は、高さ42mのミナレットを基壇の隅に配置され、中央部分は八角形の霊廟があり、丸屋根の頭頂部までの高さは58m。墓廟の丸天井は二重殻ドームとなっていて、こちらの高さは内部からだと24mしかありません。これはドームの外壁と内部には空間があるため、屋内と内部のデザインのバランスを調整するという目的もあります。
登録されている主な構成資産
霊廟
アーチやドームなどを配した立体的な霊廟は、インド・イスラーム建築の傑作。庭から霊廟を眺めた際、四分庭園(チャハル・バーグ)を採用したことにより、より遠近感が加わるため、霊廟の左右を同じ構造にすることで敷地内は左右対称となっています。
霊廟は大理石で建造されたもの。外壁にはアラビア文字や象嵌細工で描かれたアラベスク文様が施されています。内部にはムムターズ・マハルの慰霊碑があり、これは象嵌細工で飾られた美しいもの。地下には、ムムターズ・マハルの墓がありますが、その隣には夫であるシャー・ジャハーンの墓もあります。
南門
1648年に完成した赤砂岩造りの門。タージ・マハルの正門で、チャトリと呼ばれる、細い柱と屋根で構成される装飾が特徴的。イスラム建築でよく見られる、アーチ状の入口・イーワーンが見られます。
モスクと集会所
霊廟を挟んで存在する2つの建造物は西がモスクで、東が集会所。2つとも同じ構造で左右対象というのが特徴です。しかし、モスクの入口が霊廟に向かって造られているため、メッカの方角に祈ることができず、モスクではあるものの礼拝所としては使用されていません。
タージ・マハルはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
タージ・マハルが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
タージ・マハルは、左右対称のバランスや遠近法などを採用した、インド・イスラーム建築の最高傑作であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
インド・イスラーム建築の最高傑作であるタージ・マハルはその美しさから登録基準(i)だけで登録されるというレアな遺産。登録基準(i)だけで登録されているのは、シドニーのオペラハウスとカンボジアのプレア・ビヒア寺院だけ。
そんなタージ・マハルですが、シャー・ジャハーンは対岸に同じような構造で自らの黒い霊廟を建造予定でした。しかし、幽閉されたことでその夢は叶えることができずに彼は死去。ちなみに、彼を閉じ込めた息子のアウラングゼーブも妃に先立たれました。そして、アウランガーバードではタージ・マハルと同じように霊廟が建造。しかし、これはその息子のアーザム・シャーが母の為に建設したもの。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。