スウェーデンは、スカンジナビア半島の東側に位置する国で、ノーベル賞の授与式が行われるということでも有名。地下資源も豊富なため産業遺産も多いのですが、世界遺産はどれくらいあるでしょうか?
ここでは、スウェーデンの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
ドロットニングホルムの王領地
首都ストックホルム西方に位置するメーラルン湖に浮かぶローヴェン島にあるドロットニングホルム宮殿。ここはカール10世の母后であるヘロヴィーク・エレオノーラによって17世紀に建造され、18世紀後半にドイツから嫁いできたロヴィーサ・ウルリカが改築し、現在の姿になりました。
敷地には宮殿だけでなく、劇場や中国風の離宮、庭園があり、ヴェルサイユ宮殿に触発された北欧の王宮でも最も優雅な宮殿です。
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ビルカとホーヴゴーデン
首都ストックホルムの西部にあるメーラレン湖。ストックホルムから約30kmほど西に位置するメーラレン湖のビョルケー島とアデルスエー島には、ヴァイキングが活躍した時代の考古学遺跡があります。
島の各地には彼らが築いた商業都市や王宮、港、要塞の跡が点在しています。そして、ルーン文字の石碑など、8世紀末〜11世紀までヨーロッパの貿易ネットワークを示すものも残存。
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エンゲルスバーリ製鉄所
ヴェストマンランド県のエンゲルスバーリは鉱山地帯で、ここは17〜19世紀にかけてヨーロッパにおいて影響力のある工業地帯でもありました。製鉄所と周辺の建造物は、スウェーデンが2世紀に渡って鉄鉱石の採掘と製鉄で大いに繁栄したことを今でも伝えています。
製鉄所跡には現在も高炉跡や検察官の家、木造小屋など、50箇所以上の建造物が当時のまま残されています。
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ターヌムの岩絵群
スウェーデン南西部のヴェストラ・イェータランド県にある小さな村ターヌムの郊外では、青銅器時代の人々によって花崗岩を削って作られたという1500もの岩絵が1972年に発見。
ここは花崗岩を削って作られ、人間や動物、武器、ボートなどが描かれています。これらは青銅器時代のスカンジナビア半島の人々の生活や信仰が分かるというもの。
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スコーグスシルコゴーデンの森林墓地
スコーグスシルコゴーデンの森林墓地は、ストックホルムの郊外にある墓地。最も重要な施設である「森の火葬場」においては、25年間という歳月をかけたほどにこだわって作られたものです。
この森林墓地が評価されているポイントは、自然との調和を重視しているという点。デザインは松の木の植生と建築を組み合わせ、敷地内には墓石を不規則に並ばせるという自然溢れるデザインとなっています。
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ハンザ同盟都市ヴィスビュー
ゴットランド島はスウェーデン本土の東100kmの位置にある、バルト海に浮かぶ島。ヴィスビューは10世紀頃にヴァイキングの集落があった場所で、12世紀になるとこの都市がバルト海の交易を統治するようになりました。
13世紀に港に石造りの倉庫が作られると、町には教会や住居、ギルドの組合所などが次々と建設。ここには200以上の倉庫や城壁があり、要塞都市であった名残りが現在でも見られます。ヴィスビューは、宮崎駿監督の『魔女の宅急便』に登場する「コリコ」の街のモデルとしても有名。
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ルレオのガンメルスタードの教会街
ボスニア湾北端に位置する港湾都市ルレオ。その郊外に位置するガンメルスタードは古くからの交易地であり、15世紀後半に石造りの教会が建造されると、47もの村々で構成される教区となり、やがて周辺の村から人々が宗教行事で訪れるようになりました。
街には日帰りで帰れない信者のための木造平屋のコテージが多く建造され、19世紀以降に建造された424戸も現存。
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ラポニア地域
ヨーロッパの北端にあるラップランドは、北極圏の先住民であるサーメ人が今でも住んでいる地。そして、ここは氷河によって形成されたモレーンなどが残り、手つかずの自然や野生動物が見られます。
スウェーデン北部にある、シャウンニャ自然保護区、サーレク国立公園、パジェランタ国立公園、ムッドゥス国立公園、ストゥッバ自然保護区、ストーラ・ショーファレット国立公園の、4つの国立公園と2つの国立自然保護区が世界遺産として登録。
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カールスクルーナの軍港
カールスクルーナは、スウェーデン南東部のブレーキンゲ県の県都であり、ここはバルト海に面しているため、ヨーロッパの大国に対して睨みをきかせるために必要な場所でした。
ここは17世紀後半にスウェーデン国王のカール11世によって建造され、造船所や工場を配置し、さらに行政施設や教会などを加えた近代的軍港のモデルとなりました
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エーランド島南部の農業景観
スウェーデンの南東部、バルト海に浮かぶエーランド島の南部は、石灰岩に囲まれた土地。痩せた土地であるにもかかわらず、島に住む人々は耕作地と牧草地を開梱して生活を続けてきました。
島に点在する先史時代の遺跡や、今でも現役の400もの水車が並ぶその風景は、文化的景観として登録。
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ヘーガ・クステン(ハイ・コースト)とクヴァルケン群島(スウェーデンと共同)
バルト海北部のボスニア湾に面した、スウェーデン東部のヘーガ・クステンとフィンランド西部のクヴァルケン群島は、氷河が解氷したことによって隆起が続くという世界でも珍しい地形です。200〜300万年前に何度も氷河期を繰り返し、ここは大陸の氷河の中心部でもありました。
さらに大陸氷河によって形成された「デ・ギア・モレーン」という洗濯板のような地形が見れるのも特徴。
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ファールンの大銅山地域
スウェーデンの中部にあるダーラナ地方では、少なくとも9世紀以降から銅の採掘が行われていて、13世紀には市街地が形成。ファールンは20世紀後半まで廃山になるために何世紀に渡って発展したことを示す産業遺産でもあります。
ここは17世紀には全世界の銅の産出量において3分の2を誇るほどに繁栄し、今でも歴史的な建造物や何世紀にも渡って発展したことを示す関連遺跡が見られます。
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ヴァールベリのグリメトン無線局
ハッランド県ヴァールベリ市の郊外に位置するグリメトンには超長波送信局があり、これは1922〜1924年に建造された、大西洋を横断する初期の無線通信の記念碑的存在で、非常に状態が良いもの。
ここは建築家カール・オーケルブラッドが設計した新古典主義様式の建造物で、エンジニアのヘンリック・クルーガーが127mものアンテナ鉄塔を建造し、これは当時スウェーデンで最も高い建造物でした。
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シュトルーヴェの測地弧(ほかヨーロッパ9ヶ国と共同)
デンマーク生まれの天文学者フリードリッヒ・フォン・シュトルーベは、エストニア(当時はロシア領)のタルトゥで天文学を学び、1816年から1855年にかけて三角測量を使用し、彼が研究をしていたタルトゥ天文台を含む、ヨーロッパ各地に測地点を置いて、地球の大きさと形について調査しました。
測地点は、北はハンメルフェスト(ノルウェー)から南はスタラ・ネクラシウカ(ウクライナ)まで2820km以上もの距離に265箇所も配置されました。スウェーデンには7箇所残っています。
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ヘルシングランドの装飾農家群
スウェーデン東部、ヘルシングランド地方イェヴレボリ県には木造家屋が1000以上残っています。その家屋の中でも豪華な7つの木造家屋は、12〜16世紀に起源があり、19世紀に室内を豪華な装飾にしたもの。
家屋には富を得た農民たちが、室内にバロックやロココ式などの装飾を施していて、これらは民族文化の到達点とも言えるもの。
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世界遺産マニアの結論と感想
北欧だけに自然豊かなイメージがありますが、実は文化遺産が13件もあり、自然遺産が1件、複合遺産が1件と合計で15件。そして、先史時代の遺跡から世界に革命をもたらした産業遺産までさまざまなジャンルが登録されているというのもスウェーデンの魅力でもあります!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。