登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (3), (4), (6) |
登録年 | 2001年 |
ローマから東へ約30kmの位置にあるティヴォリの宮殿と庭園は、名門貴族だったエステ家の枢機卿イッポリート・デステによって建造された別荘があります。ここはもともと存在していたベネディクト会の修道院を16世紀に改装したもので、ルネサンス様式庭園の代表であり、ヨーロッパの造園様式に多くの影響を与えました。
ここではティヴォリのエステ家別荘がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エステ家別荘について詳しくなること間違いなし!
ティヴォリのエステ家別荘とは?
イタリア中部・ラツィオ州にあるティヴォリ。この地に残るエステ家の別荘と庭園は、北イタリアの名門貴族のエステ家出身で、ローマ・カトリックの枢機卿であったイッポーリト・デステによって16世紀に建造されたもの。彼はもともとローマ教皇を狙っていたのですが、争いに敗れ、この地で隠遁生活を送るためにかつてのベネディクト派の修道院を住居兼庁舎として改装しました。
ナポリの建築家ピッロ・リゴーリオによって設計され、ここは4万5000平方mもの敷地を持つ広大な別荘となりました。庭園はルネサンス様式の庭園の代表作であり、噴水が多く配されています。特に人が歩くと水が自動的か流れる「楕円の噴水」や、パイプオルガンが自動演奏するという「オルガンの噴水」など、噴水が500ほど点在していることで知られ、ヨーロッパの造園様式に影響を与えました。
イッポーリト・デステの死後、途中で何度か荒廃したものの、20世紀から修復運動が行われ、現在は美しい庭園も維持されています。
ティヴォリのエステ家別荘はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
エステ家別荘が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ティヴォリのエステ家別荘は、ルネサンス様式の傑作の一つであるという点。
登録基準(ii)
ティヴォリのエステ家別荘は、ヨーロッパの庭園設計の発展に大きく影響を与えたということ。
登録基準(iii)
ティヴォリのエステ家別荘の庭園は、ルネサンス様式の設計と美的法則が見られるという点。
登録基準(iv)
ティヴォリのエステ家別荘は、ルネサンス文化の開花の象徴でもあるということ。
登録基準(vi)
ティヴォリのエステ家別荘は、イタリアのルネサンスのシンボル的存在で、設立以来、芸術的なインスピレーションの源であったという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ティヴォリに残るエステ家の別荘は、イタリアの名門のエステ家によって建造されたものだけあって、ルネッサンスを代表する庭園設計が見られ、その文化の象徴となり、ヨーロッパの庭園設計に大きく影響を与えているという点で評価されています。
ちなみに、ティヴォリはローマ皇帝の別荘であった、世界遺産ヴィッラ・アドリアーナがありますが、ピッロ・リゴーリオはここを熱心に発掘をしたことで有名。そして、この壮大な遺跡をモチーフにしたかどうかはわかりませんが、ある意味、発掘しているうちにいろいろと参考にしていたのかもしませんね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。