フランスといえば、王侯貴族たちによる優雅なお城が立ち並ぶイメージがありますが、実際に小さな要塞の機能を持つ城から王が暮らした巨大な城まで、その種類はさまざま。ロワール川沿いにはまるで絵本に出てくるような美しい外観を持つ古城が多く点在するということでも人気です!
そんな中、フランスで世界遺産として登録されている城はいくつあるでしょうか?ここでは世界遺産に登録されたお城を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説していきましょう。
フォンテーヌブロー城(フォンテーヌブローの宮殿と庭園)
首都パリから南西に約70km。フォンテーヌブローの広大な森には、12世紀からこの地に狩猟用の小屋があり、歴代の王のお気に入りの場所でもありました。ここは宮殿と称されることが多いですが、「城館」と呼ばれることも。
16世紀にはフランソワ1世によって豪華絢爛な宮殿が建設。広大な庭園に囲まれた宮殿は、ルネサンス様式とフランスの伝統様式が融合しているというのが特徴です。
詳細はこちら↓
シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷
パリから南へ約160kmの位置にあるシュリー=シュル=ロワールからフランス西部のシャロンヌまで、約300kmものロワール川沿いのエリアが登録されています。川沿いには300を超える古城が点在。ここは「フランスの庭園」とも呼ばれるほど、城と庭園が織りなす美しい風景が広がっています。
シャンボール城
ロワール渓谷沿いでも最も広大な城で、この遺産の代表的な城でもあります。ヴァロワ朝のフランソワ1世によって1519年から建築が始められたものですが、彼の治世の間はほぼ滞在することはありませんでした。もともとは狩猟小屋として建造されたものですが、中央の本丸を囲むように4つの塔で構成され、部屋は440もあり、階段は74ヶ所もあるという広大な城に改築されたのです。
特に二重らせんの階段は2つの入口からそれぞれ入ると、決して出会うことがないという不思議な構造であり、これはフランソワ1世の客として招かれたレオナルド・ダ・ヴィンチによる設計という説もあります。
詳細はこちら↓
アンボワーズ城
トゥールとブロアの間に位置するアンボワーズ城は、シャルル7世、ルイ11世、シャルル8世、フランソワ1世など、ヴァロワ朝の王が居城とした城。もともとはローマ時代から砦があったとされ、何度も拡張と改修が重ねられ、15世紀にシャルル7世の居城になります。そして、ルネサンス様式が取り入れられ、庭園はフランス式庭園の始まりにもなったほどに革新的なものでした。
詳細はこちら↓
シュノンソー城
ロワール川の南に流れる支流にあるシェール川にかつてあった製粉所の跡地に建造された城。11世紀には既に邸宅があったとされますが、王族に献上されたのが16世紀。その後、歴代の王の愛妾が住むこともありましたが、最終的にはチョコレート業者のムニエ一族がここを所有。
城内には、フランソワ1世の寝室やルイ14世の居室など、歴代の王が滞在した時に使用した部屋もあり、ディアーヌの庭やカトリーヌの庭など、王にまつわる女性たちの名が付いた庭園なども見られます。
詳細はこちら↓
シノン城
トゥールの南西約50kmほどの距離にあるシノンにある城。丘の上に位置していて、街全体を見下ろすことができます。ここはローマ時代から砦があったとされていますが、トゥールの司祭マルティヌスによって修道院が建造されると、12世紀はイングランド王の居城になり、イギリスとフランスの一部を支配したアンジュー帝国の南の中心地でした。
城壁で囲まれた敷地内は、3つの区画に分かれていて、無数の塔が点在するという要塞としての機能が強いのも特徴です。
詳細はこちら↓
ブロワ城
ロワール川沿いに位置するブロアの街の中心部にある城。ここはフランス王が居城とした城で、13〜17世紀にかけて造られたもの。16世紀にフランソワ1世が建造した八角形の螺旋階段があり、フランス・ルネサンスの傑作とされています。
詳細はこちら↓
ユッセ城
アンドル=エ=ロワール県にあるレニ・ユッセ。11世紀にロワール川の支流であるアンドル川を見下ろす高台の上に築かれた要塞が元となっていて、16世紀にかけてゴシック様式とルネサンス様式が融合した華やかな礼拝堂などが増築。円塔が多く配された美しい城は『眠れる森の美女』に登場する城のモデルとしても有名です。
詳細はこちら↓
ヴィランドリー城
アンドル=エ=ロワール県にあるヴィランドリーには、ルネサンス様式の庭園が広がる美しい城があります。ここは12世紀に存在していた城塞の跡に、16世紀になるとフランソワ1世(1494年〜1547年)の財務大臣によって城が建造。幾何学模様のルネサンス様式の庭園があることで知られます。
詳細はこちら↓
歴史的城塞都市カルカソンヌ
カルカソンヌ市は、フランス南西部のオード県の県庁所在地。一般的に「カルカソンヌ」といえば、現在の都市全体を指し、南東部に広がる城塞都市は「カルカソンヌ=シテ」と呼ばれています。
ここは古代ローマ時代から城壁が建造され、13世紀には現在の町並みになったものの、17世紀にピレネー条約が結ばれて以降は重要度が下がりました。19世紀〜20世紀前半には大幅に改築され、美しい景観から現在では国内でも有数の観光地に。
詳細はこちら↓
クロ・ド・ヴージョ城/ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ
ブルゴーニュ地方は、ボルドーと並ぶフランスワインの産地で、世界的に有名なワインの銘柄がここで作られることでも知られます。この地の特徴は、ブドウ畑の区画である「クリマ」の存在で、クリマを所有するワイン生産者によってそれぞれ地質と日照時間、ブドウの品種が異なるというもの。
世界遺産としては、この地方の中心都市のディジョンから南へ広がるコート・ド・ニュイが登録。ブドウ畑の中にある「クロ・ド・ヴージョ城」は、16世紀に再建された城で、ブルゴーニュ・ワインの普及活動をしている「利き酒騎士団」が管理しています。
詳細はこちら↓
世界遺産マニアの結論と感想
フランスには、廃城となった小さな城は多く点在していますが、これらの城は世界遺産に登録されただけあって、その外観や規模は段違い!ぜひディープに楽しんでくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。