大聖堂とは、通常は司教(ビショップ)が統括する、その地域の中心的なキリスト教会のこと。通常は豪華な建造物であることが多く、国や地域によっては莫大な予算をかけて建造されたために建築史に名前を残す名建築もいくつかあるんですよ。
ここでは、世界遺産に登録されている大聖堂を世界遺産マニアが厳選して分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
サン・ピエトロ大聖堂/バチカン市国
画像素材:shutterstockサン・ピエトロは、「聖ペテロ」という意味で、使徒ペテロが殉教した墓の上に建っているとされています。大聖堂の面積は2万2000平方kmで世界最大規模のキリスト教の大聖堂。
大聖堂はもともとはミケランジェロによって集中式で建造されたものですが、後のラテン十字型に戻されています。聖堂内にある『サン・ピエトロのピエタ』はミケランジェロの最高傑作の一つで、「ピエタ」とは十字架から降ろされたイエス・キリストと聖母マリアを表現したもの。
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あわせて読みたい バチカン市国の世界遺産「バチカン市国」とは?サン・ピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂とは?世界遺... バチカン市国は、ローマ教皇を元首とした世界最小の国家です。バチカンはカトリック教徒においては最も神聖な場所で、イエス・キリストの最初の使徒であるペテロの墓があったとされる場所の上に建つのがサン・ピエトロ大聖堂。ここはラファエロやミケランジェロ、ベルニーニなど、世界的に有名な芸術家の傑作が多く残されている場所としても有名です。 ここでは、バチカン市国がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バチカン市国について詳しくなること間違なし! ノートルダム大聖堂(パリ)/フランス


画像素材:shutterstockパリ市内、セーヌ川の中洲でもあるシテ島の南東に位置するローマ・カトリック教会の大聖堂。ノートルダムとはフランス語で「私達の貴婦人」という意味で、聖母マリアを指すもの。ここはパリ大司教座聖堂として使用されていて、格式高い大聖堂でもあります。
12〜13世紀当時は西洋最大のカトリックの大聖堂であったもので、パリを代表する優れたゴシック建築でもあることで有名。
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あわせて読みたい フランスの世界遺産「ノートルダム大聖堂(パリ)」とは?ステンドグラスやガーゴイルを含めて世界遺産... ノートルダム大聖堂は「パリのセーヌ河岸」の構成遺産の一つ。12〜13世紀当時は西洋最大のカトリックの大聖堂であったもので、パリを代表する優れたゴシック建築でもあります。ところで、ノートルダム大聖堂はなぜ世界遺産なのでしょうか? ここではノートルダム大聖堂がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ノートルダム大聖堂について詳しくなること間違なし! ケルン大聖堂/ドイツ


画像素材:shutterstockケルンは、ドイツ西部に位置するライン川沿いの大都市。この街の大聖堂はゴシック建築としては世界最大の大きさを誇ります。正式名称は「ザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂」。大聖堂の奥行きは144.5mで、最大の幅は85m。19世紀に作られた2つの塔の高さは微妙に違うのですが、高さは約157mです。
1248年に着工したゴシック様式の建造物ですが、完成したのがなんと1880年!6世紀もの時をかけ、設計当時のまま純粋なゴシック様式の建造物を実現したことでも知られます。
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あわせて読みたい ドイツの世界遺産「ケルン大聖堂」とは?ステンドグラスや高さを含めて世界遺産マニアが解説 ドイツ西部の大都市ケルンにある大聖堂は、1248年に着工したゴシック様式の建造物。完成したのがなんと1880年!6世紀もの時をかけ、設計当時のまま純粋なゴシック様式の建造物を実現したことでも知られます。さまざまな時代のステンドグラスが眺められるのも特徴。 ここでは、ケルン大聖堂がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ケルン大聖堂について詳しくなること間違なし! セビリア大聖堂/スペイン


画像素材:shutterstockスペイン南西部のアンダルシア州の州都であるセビリア。かつてイスラム王朝の支配を受けていたアンダルシア地方にはモスクなども多く築かれました。セビリアにも12世紀にモスクが建造されたものの、レコンキスタにより、13世紀にゴシック様式の大聖堂に改築されました。その際にミナレット(塔)はルネサンス風に改築され、「ヒラルダの塔(風見の塔)」としてセビリアのシンボル的存在に。
五廊式(身廊の両側に2つずつ通路があるもの)の構造で、現在でもスペイン最大級の大聖堂でもあります。
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あわせて読みたい スペインの世界遺産「セビリア(セビーリャ)の大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館」とは?世界... スペイン南西部にある大都市セビリア。ここには、セビリアの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館といった遺産が残されていて、これらからはイスラムとキリスト教の文化の融合から大航海時代のスペインの繁栄に至るまでセビリアの歴史が見られます。 ここでは、セビリアの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、それぞの遺産について詳しくなること間違なし! カンタベリー大聖堂/イギリス


画像素材:shutterstockイングランド南東部ケント州のカンタベリーには英国国教会の総本山であるカンタベリー大聖堂があり、今でも巡礼地となっています。6世紀にカンタベリーのアウグスティヌスによってこの地に聖堂が築かれた後に、12世紀に英国王となったウィリアム1世によって、ロマネスク様式の大聖堂が建造されます。
しかし、1174年に火事によって聖堂は消失。その後、ゴシック様式で再建されつつも、14世紀にはさらに改築が続けられ、18世紀ころには現在見られる形になりました。
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あわせて読みたい イギリスの世界遺産「カンタベリー大聖堂、聖オーガスティン修道院、聖マーティン教会」とは?世界遺産... イギリス南東部にあるカンタベリーは、英国国教会の総本山であるカンタベリー大聖堂があります。ここは6世紀から英国のキリスト教布教の中心地で、カンタベリーのアウグスティヌスが創設した聖オーガスティン修道院やイギリスで最も古い教会である聖マーティン教会なども合わせて登録。 ここでは、カンタベリー大聖堂、聖オーガスティン修道院、聖マーティン教会がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、これらの大聖堂と修道院、教会について詳しくなること間違なし! 聖ヤコブ大聖堂/クロアチア


画像素材:shutterstockクロアチア南部のダルマチア地方の属するシベニクは、シベニク=クニン郡の中心地であり、11世紀には存在が確認されているほどに古い都市。15世紀になると、シベニク市の大評議会が当時のイタリアの建築家に依頼し、大聖堂の建造が始まりました。
ゴシック様式と初期ルネサンス様式を取り入れ、レンガや木などが使用されていない石造建築の聖堂としては世界最大。大聖堂は20世紀のユーゴスラビア内戦の時に破壊されましたが、現在では見事に修復されています。
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あわせて読みたい クロアチアの世界遺産「シベニクの聖ヤコブ大聖堂」とは?世界遺産マニアが解説 シベニクは、クロアチア南西部の歴史都市で、ここには15〜16世紀にかけて建造された聖ヤコブ大聖堂があります。これはゴシック様式と初期ルネサンス様式を取り入れ、レンガや木などが使用されていない石造建築の聖堂としては世界最大。ここは20世紀のユーゴスラビア内戦の時に破壊されましたが、現在では見事に修復されています。 ここではシベニクの聖ヤコブ大聖堂がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、 聖ヤコブ大聖堂について詳しくなること間違なし! ポクロフスキー大聖堂(聖ワシリイ大聖堂)/ロシア


画像素材:shutterstockロシアの首都の中心部にあるクレムリン。その周辺には多くの市場が作られましたが、その中でも東側の城壁の近くにある赤の広場は、15世紀に整備されたものが起源。
広場には、1551〜1560年にかけて、イヴァン4世(1530〜1584年)によって、カザン征服を記念して建造された大聖堂があります。中央の主聖堂の周りに、8つのドーム型の玉ねぎ型の小聖堂が囲むという構造になっていて、これは「生神女マリヤ(聖母マリア)」をシンボルとするもの。
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あわせて読みたい ロシアの世界遺産「モスクワの赤の広場」とは?世界遺産マニアが解説 モスクワの赤の広場は「モスクワのクレムリンと赤の広場」の構成遺産の一つ。モスクワ中心部でも最も有名な広場で、博物館や大聖堂、デパートなどが並んでいます。ところで、赤の広場はなぜ世界遺産なのでしょうか? ここでは赤の広場がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、赤の広場について詳しくなること間違なし! メキシコシティ・メトロポリタン大聖堂/メキシコ


画像素材:shutterstock首都メキシコシティの中心部であるソカロの北側に位置し、幅59m、長さ128m、高さ67mとアメリカ大陸最大規模の大聖堂。別名「聖母の被昇天メトロポリタン大聖堂」とも呼ばれます。
1573年に着工し、完成したのは19世紀となったため、ルネサンスやバロック、新古典主義様式など、さまざまな建築様式が織り混ざっているのが特徴。
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あわせて読みたい メキシコの世界遺産「メキシコシティ・メトロポリタン大聖堂」とは?世界遺産マニアが解説 メキシコシティ・メトロポリタン大聖堂は「メキシコシティ歴史地区とソチミルコ」の構成遺産の一つ。メキシコシティでも中心部に位置する大聖堂は、アメリカでも最大規模の大聖堂で、美しい祭壇や礼拝堂があることで知られます。ところで、メキシコシティ・メトロポリタン大聖堂はなぜ世界遺産なのでしょうか? ここではメキシコシティ・メトロポリタン大聖堂がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、メキシコシティ・メトロポリタン大聖堂について詳しくなること間違なし! クスコ大聖堂/ペルー


画像素材:shutterstockペルー東部・アンデス山脈にある大都市クスコ。クスコ大聖堂は街の中心部にあるアルマス広場に面したローマ・カトリックの大聖堂です。インカ帝国時代の宮殿跡に築かれた、街のシンボル的存在。
内部はゴシック様式とルネサンス様式が入り混じり、バロック様式の要素も加わっています。クスコには美術学校があり、聖堂内には彼らの作品が多く並ぶのが特徴。
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あわせて読みたい ペルーの世界遺産「クスコ大聖堂」とは?世界遺産マニアが解説 クスコ大聖堂は「クスコ市街」の構成遺産の一つ。クスコ旧市街の中心にあり、インカ帝国時代の宮殿跡に築かれた、街のシンボル的存在でもあります。ところで、クスコ大聖堂はなぜ世界遺産なのでしょうか? ここではクスコ大聖堂がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、クスコ大聖堂について詳しくなること間違なし! セー大聖堂/インド


画像素材:shutterstockインドの西海岸に位置するゴア州は、かつてインドにおけるポルトガル領(1510〜1961年)の首府であった旧ゴアがあった場所。ここはポルトガルのアジア交易の拠点となり、街は要塞で囲まれ、キリスト教化が進んでいきました。
1619年に建造された大聖堂で、ゴアにおける司教座でもある場所。もともとは1510年にこの地にポルトガルが占領したことを記念して大聖堂が建造されたものの、現在の大聖堂は1619年に再建されました。
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あわせて読みたい インドの世界遺産「ゴアの教会群と修道院群」とは?ザビエルの墓も含めて世界遺産マニアが解説 インド南西部にある港町ゴアは、かつてのポルトガル領であった場所で、ここはローマ・カトリックによるアジア布教の中心地でもありました。ここはかのイエズス会のフランシスコ・ザビエル(1506〜1552年)が来訪し、彼の遺体を納めたルネサンス様式とバロック様式が見られるボン・ジェズス・バシリカや、マヌエル様式のセー大聖堂など、アジア各国にヨーロッパの芸術を広める起点ともなったのも特徴。 ここではゴアの教会群と修道院群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ゴアの教会群と修道院群について詳しくなること間違なし! 世界遺産マニアの結論と感想
大聖堂はその地域の信仰の中心であるため、ゴシック様式やロマネスク様式、バロック様式など、各時代を代表する建造物として有名な大聖堂はほぼ世界遺産に登録されているといってよいでしょう。ヨーロッパだけでなく、アジアやアメリカにも世界遺産の大聖堂もあるので、各時代の特徴を踏まえながら比べてみてくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。